1993 Fiscal Year Annual Research Report
可溶性エリスロポエチン受容体を用いた食品等からの造血因子の探索
Project/Area Number |
05760109
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
永尾 雅哉 京都大学, 農学部, 助手 (10237498)
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Keywords | エリスロポエチン / エリスロポエチン受容体 / 神経系 / ファージライブラリー / モノクローナル抗体 |
Research Abstract |
1.可溶性エリスロポエチン受容体(_sEPO-R)をビオチン化し、6残基のランダムなペプチドを粒子表面に持つファージライブラリー液と混合後、ストレプトアビジンでコートしたプレート上にパニングして、_sEPO-Rに特異的に結合するものをスクリーニングしようとしたが、特異的に結合するファージは得られなかった。一方、_sEPO-Rを抗原として得られたモノクローナル抗体1G3をコートしたプレート上で同様にファージライブラリー液をパニングしたところ、特異的に結合するファージが濃縮されてきた。現在、このファージを精製し、_sEPO-Rのどの配列を有しているかを検討することにより、1G3の認識する配列を決定している。 2.エリスロポエチン(EPO)は赤血球系に特異的に作用すると考えられてきたが、神経系にも作用することを明らかにした。先ずコリン作動性ニューロン株SN6や副腎髄質由来クロム親和性細胞PC12上にEPO受容体が存在することを発見した。そして、EPO添加によりPC12細胞内のカルシウム濃度の一過的上昇や、モノアミン含量の上昇を検出した。PC12細胞は神経成長因子を添加すると神経突起を伸展するが、EPO添加では変化せず、増殖も促進されなかった。これらの結果からEPOは神経系では栄養因子として作用すると考えられた。また、マウスの胎児発生過程の神経系の形成にEPOが作用するするのではないかと考えて、RT-PCR法または免疫組織化学的手法でEPOとEPO受容体の胚および胎児における発現について検討した。その結果、胎生7日目の原始線条、胎生8日目の神経褶にEPOおよびEPO受容体の存在が認められた。さらに胎生10日目になると神経上皮の辺縁側および脊髄の原基にEPOの存在が認められた。以上の結果は、胎児の神経系形成にEPOがオートクリンまたはパラクリン様式で作用することを示唆しており、現在EPOの神経系での生物学的機能についてさらに検討している。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Seiji Masuda: "Functional erythropoietin receptor of the cells with neural characteristics:Comparison with receptor properties of erythroid cells." J.Biol.Chem. 268. 11208-11216 (1993)
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[Publications] Masaya Nagao: "Effect of tunicamycin treatment on ligand binding to the erythropoietin receptor:Conversion from two classes of binding sites to a single class." Blood. 81. 2503-2510 (1993)
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[Publications] Yoshiko Yasuda: "Localization of erythropoietin and erythropoietin-receptor in postimplantation mouse embryo." Dev.Growth.Differ.35. 711-722 (1993)
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[Publications] 佐々木 隆造: "赤血球造血因子とその可溶型受容体の生産" 化学と生物. 31. 275-280 (1993)
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[Publications] 永尾 雅哉: "サイトカインとその受容体系における糖鎖の機能" 日本農芸化学会誌. 67. 1741-1745 (1993)
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[Publications] 永尾 雅哉: "神経系におけるサイトカインの作用" Molecular Medicine. 31. 106-107 (1994)
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[Publications] 永尾 雅哉: "廣川タンパク質化学 第2巻 受容体タンパク質I" 廣川書店, 230 (1993)