1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05760245
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中馬 猛久 鹿児島大学, 農学部, 助手 (90201631)
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Keywords | カンピロバクター / ブロイラー / ハイブリダイゼーション |
Research Abstract |
現在、Campylobacter jejuniによる食中毒が問題となっている。原因食品が特定されない場合も多いが、感染源のひとつとして鶏肉が重要視されている。しかし、本菌の広範な疫学調査や鶏の保菌に至る要因の特定には培養検査が必要とされるが、多検体を処理することが難しく、問題の解明に至っていない。DNA-DNAハイブリダイゼーション法は検出感度が高く簡便で多検体処理が可能な方法とされているので、この方法が野外材料からのC.jejuniの検出に適用できるか否かについて基礎実験を行い、さらに同方法を用いて入雛から出荷までのブロイラーにおけるC.jejuniの保菌状態について調査し、保菌に至る要因を検討した。C.jejuni subsp.jejuni ATCC33560を用いてニックトランスレーション法によりビオチン標識DNAプローブを作成し、9種の細菌を対象にコロニーハイブリダイゼーションを実施してその特異性を調べたところ、わずかにC.coliと反応を示したのみで他種との交差反応は認められなかった。また、C.jejuni陰性の鶏糞便を用いた場合でも発色はみられず鶏糞便中の他の菌種とも交差しないことが明らかになった。C.jejuni陰性の鶏糞便の希釈系列にC.jejuni菌液を加えた試料を用いて検出感度を調べた結果、すべての希釈系列でそれぞれ期待した数の発色スポットがみられ、雑菌が倍地上一面に広がりコロニー判別が不可能な場合でも確実にC.jejuniを検出できることが明らかになった。さらにこの方法を用いてブロイラーにおけるC.jejuniの保菌状態を調査したところ、入雛直後の雛から陽性例が認められ出荷時にはほとんどの雛が陽性を示した。このことから、ブロイラーは早期にC.jejuniに汚染されていることが示唆され、本法が従来の培養法より高感度であることが明らかになった。今後、孵化場におけるC.jejuni汚染状況の調査や垂直感染の可能性についての再検討が必要と考えられる。
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