1993 Fiscal Year Annual Research Report
単離子宮平滑筋細胞を用いた、エストロゲンのイオンチャネルに対する作用
Project/Area Number |
05770029
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
岡部 幸司 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (80224046)
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Keywords | 単離子宮平滑筋細胞 / エストロゲン / Pach clamp 法 / K^+電流 / Ca^<2+>電流 / 活動電位 / 妊娠ラット / 縦走筋 |
Research Abstract |
妊娠ラットの子宮より縦走筋を分離し、コラゲナーゼ処理により単離子宮平滑筋細胞を得、patch clamp法により、そのイオンチャネルに対するエストロゲン急性投与の効果を検討した。エストロゲンには卵巣エストロゲンであるestoradiol(ER)を用いた。 まず、この細胞にcurrent clamp modeを用い、活動電位に対するERの効果を検討した。その結果、ER30muMの急性投与は、自発放電および電気刺激によるスパイクの律動的発生を抑制した。次に、voltage calmp modeに切り換え、保持電位-50mVにおいて膜電流に対する作用を検討した。まず、外向きK^+電流に対し、ERは濃度依存的に抑制を示し、wash outによりほぼ回復が認められた。更に、ERはout-side out patch modeにおいて、この外向きK^+電流成分の一部と思われる単一K^+チャネル(コンダクタンス110pS)の開口も抑制した。次に、内向きCa^<2+>電流を単離し検討した。ER投与は脱分極させるほど強い電位依存性の抑制を示し、かつ、その効果は濃度依存的(0.1muM>)であった。しかし、効果のwash outはK^+電流に比べると部分的な回復しか認められなかった。 以上のことより、ERの急性投与はラット妊娠子宮の縦走平滑筋細胞において、電位依存性Ca^<2+>電流とK^+電流を抑制することにより、スパイク発生頻度やスパイク高を抑制することが解かった。ERのK^+電流に対する抑制は細胞核を介さず、直接、チャネルおよびその近傍に作用している可能性が考えられた。また、Ca^<2+>電流に関しては、直接作用以外の作用機序が存在することも示唆された。しかしながら、ERの慢性作用との関係や、急性投与がどれだけの生理的意義を持っているかは、今後、更に詳しく検討する必要があると思われる。補助金により購入した培養倒立顕微鏡は、Pach clamp 法において単離細胞を観察する目的に使用した。
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