1993 Fiscal Year Annual Research Report
褐色脂肪組織の機能調節におけるガングリオシドの役割
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05770041
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
大日向 浩 旭川医科大学, 医学部, 助手 (20233257)
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Keywords | 褐色脂肪組織 / ガングリオシド / 細胞増殖 / DNA測定 / Hoechst33258 / 非ふるえ熱産生 |
Research Abstract |
熱産生専門機関である褐色脂肪組織(BAT)の増殖・分化における酸性糖脂質-ガングリオシドの役割に関して、BATの質的量的変化に呼応する形でBATの主要なガングリオシドG_<M3>量が有意な増減を示すが、増殖との直接な因果関係が見られないとの結果を得た(昨年度奨励研究実績)。更に、寒冷との交叉適応を示す拘束ストレスの一度だけの負荷を行った結果、BAT‐DNA量・G_<M3>量共に変化は見られず、一週間の拘束刺激ではBAT湿重量、DNA量共に増加していたにも関わらず、G_<M3>レベル直接の相関を示さなかった。しかし、この際、脂肪含量が変化すると共に、用いられた蛍光色素によるDNA量測定法が組織含有の脂肪成分に干渉されたいた可能性が示唆されたため、これを検討すると共に、再度、BAT‐DNA量を測定し直した。DNA共存の有無に関わらず、見かけ上のDNA量は測定試料中のトリグリセリド(TG)含量に対し用量依存的に増加し、DNA結合性蛍光色素Hoechst33258はTGにより干渉を受ける事を明らかにした。一方、グリセロールはこの測定系に影響を与えなかった。そこで、十分にTGを除去しかつDNAの余分な損失がないアセトン脱脂法による前処理を施した後、BAT‐DNA含量を調べたところ、環境刺激によりBAT‐DNA増殖は変化を起こすが、BAT‐G_<M3>レベルの変化はBAT増殖活性のみでは説明されない事を再度確認した。次に、BAT機能、特に熱産生との直接の関係を調べるため、BATのin vitro酸素消費量に対するG_<M3>効果を調べたところ、BAT組織細片の基礎酸素消費量およびノルアドレナリン刺激時の酸素消費量の双方に対し、何の効果も認められていない。しかし、G_<M3>投与法を含めて、実験方法の確立が必要であると考えられ、G_<M3>レベルの変化と機能-熱産生能との関係を結論づけるには、さらに検討が必要であると考えられる。
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