1993 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚圧半側発汗の発生機序における発汗神経活動の役割
Project/Area Number |
05770047
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
杉山 由樹 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (50240809)
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Keywords | 皮膚圧半側発汗 / マイクロニューログラフィ / 皮膚交感神経活動 / 発汗神経活動 / 圧反射 / 微小神経電図法 |
Research Abstract |
一側の皮膚圧迫によって同側の発汗が抑制される現象は高木らにより皮膚圧半側発汗として報告された.この現象のメカニズムについては神経性調節であるとする考え方が主流である.本研究では皮膚圧半側発汗の発生機序における発汗神経活動の役割を明らかにすることを目的とした.対象は20〜25歳の健康成人5人であり予め文書による承諾を得た.被験者を中立環境下においてベッド上に仰臥位とし,ホワイトノイズの流れるヘッドフォンとアイマスクを着用させて外的刺激から遮断した.膝窩部頚骨神経から微小神経電図法(マイクロニューログラフィ)により両下肢の皮膚交感神経活動および足底においてカプセル換気法による発汗量を測定し,側稔部に圧迫を加えて皮膚圧半側発汗反応惹起した際の交感神経活動の左右差を比較検討した.皮膚交感神経活動は概ね左右同期して発射したが,その積分波形の波高は同側で抑制あるいは対側で促進された.ことに,発汗波に対応する皮膚交感神経活動は発汗神経活動としてみなすことができるが,皮膚圧迫と同側のバースト活動の積分波高の相対的減少は著明であった.発汗神経活動の積分波高と発汗波の立ち上がり角度との間には正の相関関係が成立した.手首における正中神経への電気刺激によって誘発される反射性バーストの潜時は皮膚圧迫による影響を受けなかった.以上の結果から一側の皮膚圧迫によって同側の発汗神経活動の抑制と対側の発汗神経活動の促進の生ずることこが明らかとなった. 本研究により皮膚圧半側発汗における発汗の左右差は発汗神経活動量に依存して発現することが示唆された.
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