1993 Fiscal Year Annual Research Report
表皮細胞に存在するCa^<2+>依存性および非依存性Cキナーゼ基質蛋白に関する解析
Project/Area Number |
05770068
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
西川 喜代孝 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40218128)
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Keywords | Cキナーゼ / 表皮細胞 / transforming growth factor-beta / アイソザイム / 内在性基質蛋白 / 細胞内情報伝達 |
Research Abstract |
我々は既にマウス培養表皮細胞を用い、phorbol 12-myristate 13-acetate(PMA)により10個の内在性蛋白のリン酸化レベルが変化すること、またこれらのうち3つの蛋白、KP-1(pI4.7/23,000Mr)、KP-2(pI4.7/20,700Mr)、KP-10(pI4.7/25,500Mr)のリン酸化レベルはPMA刺激により著しく亢進することを見いだしている。さらに無傷細胞において、KP-1及びKP-2はCa^<2+>依存性Cキナーゼ(cPKC)の活性化を介して、またKP-10はCa^<2+>非依存性Cキナーゼ(nPKC)の活性化を介しそれぞれリン酸化されることを明らかにしている(K.Nishikawa et al.,Cell.Signal.,4,1992,757-776)。本研究ではこれらの基質蛋白をプローブとし、表皮細胞に対して強力な増殖抑制作用を有するtransforming growth factor-beta(TGF-beta)の細胞内情報伝達機構におけるcPKC及びnPKCの関与を検討した。 その結果、TGF-beta(3ng/ml)はPMAにより亢進されるKP-1,KP-2,KP-10のリン酸化反応を強力に抑制することが明らかとなった。一方、TGF-betaはあらかじめPMAによりリン酸化されたこれら3つの蛋白の脱リン酸化反応は促進しなかった。このことはTGF-betaによるリン酸化反応の抑制は脱リン酸化反応の促進によるものではないことを示している。表皮細胞をTGF-beta(3ng/ml)で1時間処理すると、可溶性画分及び膜画分のcPKC活性(Ca^<2+>-dependent KP-1 and KP-2 phosphorylating activity)は強く抑制されたが、nPKC活性(Ca^<2+>-independent KP-10 phosphorylating activity)は変化しなかった。このことは、TGF-betaはcPKC活性を抑制することによりcPKCを介する細胞内蛋白リン酸化反応を抑制するがnPKCを介する細胞内蛋白リン酸化反応についてはそれとは異なった機構により抑制していることを示している。以上の結果からTGF-betaの細胞内情報伝達機構にはcPKC及びnPKCが関与していること、さらに両者の関与機構は異なることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)