1994 Fiscal Year Annual Research Report
Whole chromosome probeを用いた甲状腺濾胞性腫瘍の染色体分析
Project/Area Number |
05770119
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
今村 好章 福井医科大学, 医学部, 助手 (40223341)
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Keywords | 甲状腺 / 濾胞性腫瘍 / 乳頭癌 / FISH / 17番染色体 / 染色体特異的プローブ / レーザー顕微鏡 |
Research Abstract |
1.本研究の課題はWhole chromosome probeを用いた甲状腺濾胞性腫瘍の染色体分析であったがwhole chromosome probeを用いたin situ hybridizationでは陽性反応が得られなかったため、セントロメアに対するビオチン化probeを用いたin situ hybridizationを行った。用いた症例は濾胞腺腫3例、濾胞癌3例であり、また、リンパ節転移を有する乳頭癌5例とリンパ節転移を有さない乳頭癌5例についても併せて検討した。ビチオン化17番染色体特異的probe(Chromosome 17alpha Satellite D17Z1: ONCOR社)をDNA probeとしてFISH法を行い、レーザー顕微鏡(Olympus,LSM-GB200)で観察した。 2.腫瘍背景の正常甲状腺組織では染色体の数的異常は認められなかった。 3.濾胞腺腫では3例中1例で3個/核以上の染色体数的異常細胞が認められ、1例では1個/核の割合が著明に高く、17番染色体のmonosomyが疑われた。 4.濾胞癌では3例すべてに染色体数的異常細胞が認められた。 5.乳頭癌ではリンパ節転移を有さない2例以外の8例に染色体数異常細胞が認められた。 6.リンパ節転移を有する乳頭癌ではリンパ節転移のない乳頭癌より染色体数的異常細胞の出現頻度が高い傾向にあった。 以上の結果から甲状腺腫瘍においては良悪性を問わず高頻度に17番染色体数的異常細胞が認められることが分かった。それゆえ、甲状腺濾胞性腫瘍の良悪性の鑑別についてはさらなる詳しい解析が必要であると思われた。今後さらに他の番号の染色体probeを用いた検討を行っていきたい。
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