1993 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト不死化肝細胞株及び肝癌細胞株を用いた肝発癌に関連する遺伝子異常の解析
Project/Area Number |
05770133
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
野口 雅之 国立がんセンター研究所, 病理部, 室長 (00198582)
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Keywords | p53 / 遺伝子移入 / 肝癌細胞株 / マトリジェル / アポトーシス |
Research Abstract |
野性型 p53 cDNA をmetallothionein promoter(MT 11A)の下流に挿入した真核細胞発現ベクター(pMEP4 p53)を作成し、これをelectroporation法にてヒト肝がん細胞株(PH5T)に遺伝子導入して、その性状を解析した。ヒト肝がん細胞株PH5Tは、平成3、4年度奨励研究において樹立した細胞株で、17番染色体にLOHがあり、かつその短腕上にある p53遺伝子のコドン141に点突然変異があり p53産物の発現を欠いている。 野性型 p53 cDNAおよびコントロールとしてアンチセンス p53 cNDA を挿入したベクターを遺伝子移入すると、野性型では4コロニーのみ得られたのに対し、アンチセンス cDNAを挿入すると100以上のコロニーを形成した。それぞれ4コロニー、3コロニーをクローニングしてその性状を検索した。colony forming efficiencvy assay(5,000 cells/60 mm dish)を観察するとアンチセンス p53移入クローンは3/3でcolony formationを認めたが、野性型 p53移入クローンでは2/4しか認めなかった。次に100muMの塩化亜鉛でインダクションをかけるとアンチセンス p53移入クローンでは colony forming activityに変化を認めなかったが野性型 p53移入クローンはその cology forming activityが抑制された。またこれらの株をマトリジェルとともにヌードマウスに移植し、2日後に解剖・腫瘍病変をホルマリン固定してその形態を観察すると、野性型 p53移入クローンでは、核の濃縮、断片化等、アポトーシスを示唆する所見が認められた。 以上より、野性型 p53蛋白はPH5Tの増殖を明らかに抑制していることが証明され、PH5Tの腫瘍化の一段階として p53蛋白欠失による増殖亢進があることが示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Y.Nakanishi,M.Noguchi,et al.: "p53 expression in squamous cell carcinoma and dysplasia of the vocal cords and oral cavity." Applied.Immunohistochem.1(2). 101-107 (1993)
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[Publications] M.Noguchi,et al.: "Application of the p53 gene mutation pattern for differential diagnosis of primary versus metastatic lung carcinomas." Diagn.Mol.Pathol.2(1). 29-35 (1993)
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[Publications] M.Noguchi,et al.: "Biological consequence of overexpression of a transfected c-erbB-2 gene in immortalized human bronchial epithelial cells." Cancer Res.53. 2035-2043 (1993)