1993 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト食道癌の予後因子としての変異p53発現とヒトパピローマウイルスとの関連
Project/Area Number |
05770154
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
降幡 睦夫 高知医科大学, 医学部, 文部教官助手 (10209158)
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Keywords | ヒト乳頭腫ウイルス / p53 / 膀胱癌 / in situ hybridization / 免疫組織化学 / 予後因子 |
Research Abstract |
1982年から1992年(11年)に高知医科大学泌尿器化および高知高須病院にて外科的に切除された膀胱癌90例を対象とした(男性69例、女性21例、年齢;49-92歳)。標本は摘出後10%緩衝ホルマリンに固定後パラフィン包埋ブロックとし、このブロックより薄切切片を作製し、ビオチン標識化HPV16型、18型、33型 cDNAプローブ(ダコ・ジャパン)を用いたin situ hybridization(ISH)法をマニュアルに準じて行い、Human Papillomavirus(HPV)のtypingを行い、p53蛋白異常発現については、杭p53蛋白抗体D07(ダコ・ジャパン)用い、ABC法による免疫組織化学染色により検討した。 HPVは90例中28例(31.1%)において、腫瘍細胞の核に一致した陽性所見を得、17例では重複感染(二重もしくは三重感染)を認めた。p53は90例中32例(35.6%)で、ほぼすべての腫瘍細胞の核に一致した陽性所見を得られた。さらに6例ではHPV感染とp53蛋白の異常発現を同時に認め、連続切片により組織学的にHPV感染とPp53蛋白の異常発現を同一腫瘍細胞に証明することができた。X^2検定による臨床病理学的要因との関連における検討では、HPV感染はpapillary-non invasiveなtypeの腫瘍に、p53蛋白の異常発現はGrade 3のnon papillary-invasive typeの腫瘍に有意差をもって多く認められた。さらにKaplan Meier検定による予後との関連における検討では、HPV感染や、特にp53蛋白の異常発現を認める患者の生存率はその他の患者のそれに比較して有意に低下する傾向がみられた。 我々は食道癌において、ISH法を用いたHPVの感染とそのタイピング及び免疫組織化学法に基づく異常p53蛋白発現を明らかにし、HPV感染や異常p53蛋白の存在が各症例の悪性化や予後に影響を及ぼすことを報告しているが、今回、膀胱癌においてもこれらがその腫瘍動態に関連し、患者の予後に影響を与えている可能性が高いことが示された。加えてHPV感染とp53蛋白の異常発現を同一腫瘍細胞に証明することができ、本来HPV type-16,-18のE6蛋白がp53蛋白と結合しこれを破壊することが認められているだけに、その意義については興味深く、より詳細な検討が今後必要となる。
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Research Products
(1 results)