1993 Fiscal Year Annual Research Report
トリパノソーマ原虫で見出されたras関連遺伝子のクローニング
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05770176
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
松田 信治 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (70199800)
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Keywords | Trypanosoma brucei gambiense / c-H-ras / ノーザンブロッテイング / サザンブロッテイング |
Research Abstract |
感染マウス流血中からDEAE-セルロースカラムにより99%以上の純度で分離できたTrypanosoma brucei gambiense(Tbg)を材料に、既に抽出してあったgenomic DNAおよびとtotal RNAを使用した。まず、total RNAに対してノーザンブロッティングを行い、転写産物のレベルでc-H-ras類似関連遺伝子が存在するかどうかを確認した。当初の、c-H-ras cDNAをインサートに持つプラスミドから作製したプローブを用いた実験では、陽性対照のヒト株化腫瘍細胞Ej中に発現しているc-H-ras mRNAと同じ長さのあたりに、弱いシグナルが得られた。更にTbgのmRNAを分離精製して解析を進めるために、spliced leader配列の39塩基中、5'末端側の25塩基配列に対して相補的な配列を持つオリゴヌクレオチドをビオチン-ラベルで合成し、これと水素結合したmRNAをストレプトアビジン結合磁気ビーズにより回収する方法を採用した。結果は、同時に比較として行なった従来のoligo-dTリガンド結合磁気ビーズを用いたものより回収率は良好であった。これにより集めたTbgのmRNAを対象にノーザンブロット解析を行った。当初のものより厳密にc-H-rasのcDNA領域に限定したプローブを作製して、このmRNAポピュレーションを調べると、比較的強いシグナルを与えるバンドが、Ej細胞中のc-H-ras mRNAの半分ほどの長さのあたりに認められた。次いでハイブイダイゼーションによるクローニングを行なうため、サザンブロット解析による条件設定を行なった。先述のgenomicDNAをDralによって消化し、電気泳動後ナイロンメンブレインに転写た後、先述の新たに作製し直したプローブを用いて、複数のシグナルを得た。最後に、さきに分離精製したTog mRNAから、通常の方法でcDNA二重鎖を合成し、lambdaMOSSloxファジ-ベクター及び、現報告者らが開発したpKE1プラスミドベクターにつないで、各々ハイブリダイゼーションにより陽性ベクターを釣り上げ、第2、第3次スクリーニングを行い、ベクターの標的を絞りこんだ。この後、pBluescript系ファージミッドベクターへサブクローニングを行い、ジデオキシ法にて塩基配列を解析中である。
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