1993 Fiscal Year Annual Research Report
糞線虫症ネズミ実験モデルに関する研究-Strongyloides venezuelensisの体内移行経路と播種性感染について
Project/Area Number |
05770177
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
織戸 康秀 杏林大学, 医学部, 講師 (50185683)
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Keywords | ベネズエラ糞線虫 / 体内移行経路 / マウス / ラット |
Research Abstract |
ベネズエラ糞線虫(以下S.v)フィラリア型幼虫を400隻毎、未感染のマウス及びラットに皮下注し、それぞれ24,36,40,42,45,48,60,66,72,96時間後に剖検した。剖検は、全ての組織、臓器に対して行ったが、皮膚、筋、脳、肺のような充実性の組織・臓器については細切後、食道、気管、腸管のような管腔器官・臓器はそのまま37℃の生理的食塩水に浸し、遊出してきた幼虫および成虫の数を実体顕微鏡下で数えた。 その結果、マウスにおいては感染24,36時間では、皮膚及び筋肉からのみ虫体が回収された。感染42時間において初めて肺から虫体が証明され、48,60時間ではほとんどの虫体が肺から回収された。気管からは感染60,66時間後に少数の虫体が分離された。小腸には感染60時間後に成虫が確認され、経時的にその回収数が増加したが、72,96時間後ではほぼ同じであったが、マウスに比して虫体の回収率がやや低く、分布にばらつきが見られ、一部の虫体は皮膚及び筋肉内に留まる傾向が見られた。 上記の実験をステロイド投与により免疫能の低下たラットおよびマウスに対して行ったところ、腸管内における成虫の経時的虫体数の減少がかなり緩徐になったが、自家感染を示す所見はみられなかった。 S.vはStrongyloides ratti(以下S.r)と異なり、虫体の頭蓋内移行がみられないことや、虫体の回収率が高く、体内移行における各組織・臓器への分布のばらつきが少ない、という特徴を示していた。これより、S.vはS.rよりもヒト糞線虫の実験モデルとして適当であると判断された。また、自家感染については、さらに調査・研究の必要性が確認された。
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