1993 Fiscal Year Annual Research Report
PCR法を用いたボツリヌス菌毒素の新しい検出法の確立と基礎的研究
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05770191
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
藤永 由佳子 岡山大学, 医学部, 助手 (60252954)
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Keywords | PCR / C.botulinum / botulism / toxin gene |
Research Abstract |
ボツリヌス菌毒素は、血清型によりA〜G型に分類され、菌もそれに伴いA〜G型が存在する。そのうちD型とG型を除く型はヒトに中毒(ボツリヌス症)を引き起こすことが報告されている。本研究ではA〜F型のボツリヌス菌毒素を遺伝子増幅法(PCR法)を用いて直接検出する高感度で迅速、簡便な方法を確立し、さらに実際にボツリヌス中毒の原因となった食品(カラシレンコン、サケトバ)よりボツリヌス菌毒素遺伝子の検出に成功した。 1.プライマーの設定 現在、塩基配列が明かにされているA〜F型についてコンピュータのホモロジー検索に基づきそれぞれの型に特異的な6種類のプライマーセットを毒素の軽鎖をコードする部分に設定した。 2.PCRの特異性の検定 ボツリヌスA〜F型についてそれぞれ2株づつを用いて、DNAを抽出し、A型プライマーセットではA型毒素のみ、B型プライマーセットではB型毒素のみというように型特異的に検出されることを確認した。さらに無毒のボツリヌス菌((C)-AO2,(E)-Sapporo),またC.tetaniなどの他のクロストリジウム属の菌ではPCRがかからないこと(毒素特異性)を確認した。 3.感度の検定 A〜F型菌のDNAを抽出しそれぞれ順次10倍希釈して感度実験を行ったところ2.5pgまで検出可能であった。 4.ボツリヌス中毒の原因となった食品より毒素遺伝子の検出 ボツリヌス中毒の原因となったカラシレンコン、サケトバを用いて、PCRを行ったところカラシレンコンよりA型とB型、サケトバよりE型遺伝子が検出された。この結果は、これらの食品より菌を分離した結果およびマウスを用いた致死実験の結果と一致した。 以上の結果より本方法は、高感度で迅速、簡便な、新しいボツリヌス症候群の診断法として有用であると結論された(投稿準備中)。
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