1993 Fiscal Year Annual Research Report
単球走化活性化因子トランスジェニックマウスの免疫細胞分化及び免疫応答の研究
Project/Area Number |
05770225
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岩渕 和也 北海道大学, 免疫科学研究所, 助手 (20184898)
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Keywords | 単球機能 / ケモカイン / トランスジェニックマウス / 炎症 / チロシンキナーゼ / 免疫応答 |
Research Abstract |
単球機能が、リンパ球分化、自己免疫疾患の発症、癌の発生・転移等にどのような影響を及ぼすかを知る目的で、単球系細胞機能を標的とするトランスジェニックマウス(Tgm)の作製を試みた。機能を亢進させるものとして、単球遊走活性化因子(MCAF)、低下させる可能性を持つものとして、単球系に比較的特異的に発現しているsrcファミリーキナーゼであるFgr分子のミュータントFgr(K-R)をトランスジーンに選び、現在までに前者1、後者2の導入遺伝子陽性マウスを得ている。 MCAF-Tgmについては、founder,progenyとも外観および発育は正常であり、progenyの発現臓器をRT-PCR法にて検索したところ脳、胸腺、脾、肝、精巣などに陽性所見を得た。また、1ng/ml以上のMCAFが含まれていることが判明した。Non-Tgmでは、測定感度100pg/mlで全く検出されなかった。現在、MCAFの恒常的産生が、リンパ球分化及び免疫応答にどのような影響を与えるかを検索中である。 Fgr(K-R)-Tgmについては、現在解析中であるが、このマウスのFgr発現を調べる目的で作製した抗Fgr単クローン抗体(2H2)により、単球系細胞が抗原認識機構、及びシグナル伝達系の理解に重要と考えられる以下の知見が得られた。1)Fgrはリンパ節で最も強く発現している。2)2H2陽性細胞は、リンパ節では周縁洞、傍皮質、髄質に、脾臓では辺縁帯に局在している。3)腫瘍細胞障害活性を有するLAK細胞に非常に強く発現している。4)生理的条件下ではFgrを発現していないT,B細胞、腹腔の常在性マクロファージなども、活性化により発現が誘導される。5)Fgrは細胞表面のMW約70-75kdの分子(現在同定を試みている)や、Ly6C分子と会合している。
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[Publications] Hirano Mari: "Reconstitution of lymphoid tissues under the influence of a subclinical level of graft versus host reaction" Cell.Immunol.151. 118-132 (1993)
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[Publications] Ohgama Jun: "Functional studies on MEL-14^+ and MEL-14^- T cells in peripheral lymphoid tissues." Immunobiology. (印刷中).
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[Publications] Hatakeyama Shigetyugu: "The murine c-fgr gene product associated with Ly6C and p70 integral membrane protein expressed in cells of a Mon/Mphi lineage." Proc. Natl. Acad. Sci. USA. (印刷中).
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[Publications] 岩渕和也: "T細胞の抗原レセプター(TCR)とCD3複合体分子他 小野江和則編「T細胞の分化と成熟」" 中外医学社, 180 (1993)
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[Publications] 岩渕和也: "Annual Review 免疫1994 菊地浩吉・天田純一・奥村康編「MHC分子と抗原ペプチドの結合様式」" 中外医学社, 308 (1994)