1994 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光ラベルPCRに基づくDNA画像解析の法医遺伝学的有用性についての検討
Project/Area Number |
05770294
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
黒崎 久仁彦 千葉大学, 医学部, 講師 (60240701)
|
Keywords | DNA多型 / STR / 集団遺伝学 / 古人骨 / 法医学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、蛍光ラベルしたPCR産物をDNA画像解析システムにより解析する方法が、法医学的実務試料においてもSTR(Short Tandem Repeat)多型のタイビングに有用であることを実験的に検証することである。以下に本年度の研究実績の概要について示す。 1)DNAシークエンサー及びDNA画像解析ソフトウェアを用い、すでに(コーカソイド集団において)多型性が報告されている20のSTR座位について、複数の現代日本人個体から抽出したDNAをテンプレートとして多型検出を試みたところ、いずれの座位においても容易にタイピングが可能であった。これらのSTR座位についてそれぞれ日本人集団の多型頻度を求めた。 2)STR多型頻度分布を、現代日本人とコーカソイド集団との間で比較したところ、その分布はこれまでに知られているどの多型マーカーに比べても、概して著しく異なっており、その違い方は4つのパターンに分類することが可能であった。また座位によってはヘテロ接合度及びPICの値にも著しい差が生じている場合があった。このことは、STR多型の遺伝的情報量が人種など対象集団の違いにより異なることを示唆しており、法医学的応用にあたっては、日本人集団において実用可能なSTR領域及びその組み合わせを選択する必要があることが改めて確認された15EA04:3)年単位で様々な保存環境下におかれていた陳旧試料(骨・組織片毛髪など)からDNAを抽出し、STR多型のタイピングを行なったところ、高熱環境や水中にさらされていた試料を除いて、概ねアリルの検出は可能であった。更に、弥生時代の遺跡より出土した古人骨についてもタイピングは可能であり、このSTR多型を用いて初めて遺跡古人骨の親子鑑別に成功した。 以上
|