1993 Fiscal Year Annual Research Report
糖質コルチコイド高血圧の発症機序の細胞学的検討(ならびにステロイド高血圧の検討)
Project/Area Number |
05770323
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐藤 敦久 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80196211)
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Keywords | 高血圧 / 糖質コルチコイド / アンギオテンシンII |
Research Abstract |
糖質コルチコイド高血圧における血管壁アンギオテンシンII受容体type1A(AT1A)の遺伝子発現調節をin vivo及びin vitroにおいて比較検討した. 1)糖質コルチコイド高血圧ラットモデル:6週齢Wistar ratに0.1mg/日のデキサメサゾン(DX)を連日投与したところ血圧は3日目より上昇し5日目に最高となり(52±10mmHgの上昇p<0.01)その後平衡に達した.血管壁におけるATIA受容体の発現は血圧がまだ上昇していない第2日目より誘導され5日目にはさらに増強した.ATIB受容体のmRNAの発現はこの期間中全く認めなかった。ACE阻害薬単独投与群では対照群と同様血圧の変化は認めなかったが、DXとの同時投与によりDXによる血圧上昇を減弱した(28±11mmHgの上昇)しかし降圧にもかかわらず同群においてもATIA受容体のmRNAの発現が誘導された.ACE阻害薬単独群はATIA,ATIB受容体のmRNAの発現は全く認めなかった. 2)血管平滑筋細胞(VSMC)における検討:6週齢Wistar ratの胸部大動脈より酵素法にて単離したVSMCにおいてATIA受容体のmRNAの発現が,1muMDX処置により誘導され30分後より増加(2.2±0.3-fold)24時間後に最高となり(7.8±0.4-fold)極めて早期からDXにより誘導されることがin vitroにて確認された. 糖質コルチコイド高血圧では、高血圧が発症するか以前からすでにAngIIに対する血管反応性の亢進が認められることが報告されているが、本研究でその機序の一つが示された.
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