1993 Fiscal Year Annual Research Report
好中球・マクロファージ機能および細菌増殖に対するCAPD透析液のpH・浸透圧の影響
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05770328
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
吉田 正樹 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (00231697)
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Keywords | 好中球機能 / 活性酸素 / CAPD / 腹膜炎 / IL-1 / バイオフィルム |
Research Abstract |
平成4年度奨励研究Aにて好中球機能に及ぼすCAPD透析液のpHおよび浸透圧の影響を検討し、好中球活性酸素産生能はpH7.4の透析液中では60分まで有意な変化がみられないのに対して、pH6.3の透析液中では直後には有意な低下を認めないものの、15分以降には有意な低下を認めた。さらに、pH5.1の透析液中では直後に70.8±17.4%までの低下、5分間の前培養では16.8±9.0%、10分以降の前培養では測定限界以下であった。4.25%の透析液15分間前培養群では、有意な低下を認め、2.5%の透析液30分間前培養群でも有意な低下を認めた。pH5.1の透析液においては、3群ともに早期に低下したことを明らかにし、従来から使用されているpH5.1の透析液は、PMNの活性酸素産生能を早期に低下させ、浸透圧が高い透析液も、早期にPMN殺菌能を低下することから、腹膜炎時には適さないことを示した。今回は好中球に代えて、腹腔マクロファージによる検討を試みたが、腹腔マクロファージの活性酸素産生能にばらつきが強く、腹腔マクロファージでの測定をあきらめ、単核球系細胞株(U937)を用いて測定を行った。その結果、好中球と同時に低いpHと高い浸透圧において早期に活性酸素産生能が低下した。また、CAPD腹膜炎の診断、治癒の指標としてCAPD排液中のIL-1を測定したところ、非腹膜炎症例に比べ腹膜炎症例において高値を示した。現在症例数を増やし検討中である。バイオフィルム形成に及ぼす透析液のpH、浸透圧の影響、薬剤の透過性については、バイオフィルム形成の条件が難しく、検討中である。
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