1993 Fiscal Year Annual Research Report
SLEにおける病原性T細胞の分子生物学的アプローチによる性状解析
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05770331
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
岳野 光洋 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (50236494)
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Keywords | 全身性エリテマトーデス / 自己反応性T細胞 / 自己抗体 / 抗DNA抗体 / 多クローン性B細胞活性化 |
Research Abstract |
全身性エリテマトーデス(SLE)の抗DNA抗体産生に関わる病因的ヘルパーT細胞について,クローンレベルで検討した.ループスモデルマウスであるMRL/1prの成績から,SLE患者においてもCD3+CD4-CD8-T細胞が病因的役割を担うと考え,そのクローン化T細胞の樹立を試み,この中に抗DNA抗体産生を特異的に補助するクローンを見いだした.しかし,その後,クローン化T細胞株の自己反応性,抗体産生補助能を評価していくと,ヒトSLEではCD4+T細胞株の方がより強く病因,病態に関わっていると考えられた.SLE患者末梢血リンパ球より自己リンパ球混合培養を基本としてクローン化T細胞株の樹立を試みた結果,自己末梢血リンパ球に特異的に増殖反応を示すのはCD4+T細胞クローンであり,計4株(YK6,SN6,KI50,KI52)を樹立した.このうちTh2とTh0のサイトカイン産生パタンを示した3クローン(YK6,SN6,KI50)は自己B細胞のポリクローナルなIgGおよびIgM産生を補助したが,Th1のKI52は抗体産生補助能を欠いていた.さらにYK6およびKI50は自己抗体産生(IgG抗DNA抗体,IgG抗SS-A抗体)のみならず外来性抗原に対する抗体産生(IgG抗テタヌス毒素抗体)をもほぼ同じ程度に増強した.そして,これらの自己反応性はHLAクラスII分子(SN6はDQ,KI50はDR)に拘束されていた.以上の成績は,このような自己反応性T細胞がB細胞に発現した何らかの自己ペプチドに特異的に反応し,ポリクローナルな様式で自己抗体を含む抗体産生を補助してSLEの病態形成に寄与していることを示す成績である.現在,これらのクローン化T細胞のT細胞レセプター(TCR)の発現について検討を進めているが,アミノ酸レベルでも共通性はなく,またGene bankに登録される既存のTCRbeta鎖にも一致するものは見出されいない.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] M.Takeno,N.Suzuki,H.Nagafuchi Y.Mizushima,T.Sakane: "Selective suppression of resting B cell function in patients with systemic lupus erythematosus treated with cyclophosmide" Clinical and Experimental Rheumatology. 11. 263-270 (1993)