1993 Fiscal Year Annual Research Report
肝炎患者の肝組織中と末梢血探求におけるマクロファージコロニー刺激因子の臨床的意義
Project/Area Number |
05770360
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
伊藤 義人 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (70244613)
|
Keywords | 肝炎 / M-CSF |
Research Abstract |
1.生検肝組織と培養肝組織におけるM-CSF陽性細胞の検討。 急性肝炎、慢性活動性肝炎、慢性非活動性肝炎患者の肝組織におけるmacrophage colony stimulating factor(M-CSF)陽性細胞の検討はABC法により行った。その結果、肝炎の炎症の程度に応じて肝組織中のM-CSF陽性細胞数は増加していた。さらに、その多くは、門脈域に浸潤した末梢血由来の単核球であることが明らかとなった。 生検肝組織と培養肝組織のいずれにおいても、Kupffer細胞、肝細胞、内皮細胞、Kupffer細胞、伊東細胞にM-CSF陽性像は見られなかった。 また、血清中のM-CSF濃度と肝組織中のM-CSF陽性細胞数との間には有意な正の相関関係が認められた。さらに、Macrophage/Monocyteを認識するCD68の免疫組織化学的検討では、肝組織中のM-CSF陽性細胞数と血清中のM-CSF濃度の両者と有為な正の相関関係が認められた。 従って、肝炎患者では、肝炎の活動性に応じて、肝組織に浸潤した末梢血由来の単核球がM-CSFを産生し、肝組織中のMacrophage/Monocyteを増加させることにより炎症の増悪ないしは維持が起こっていることが推測された。 2)培養上清中のM-CSFの測定。 末梢血単核球の培養上清よりM-CSFが測定可能であったことより、末梢血単核球はin vitroでM-CSFを産生すると考えられた。しかし、IFNalphaを添加培養した末梢血単核球培養上清中のM-CSF濃度が低下していた事より、慢性肝炎のIFNalpha治療中の血清M-CSFの増加は、IFNalphaの末梢血単核球に対する直接的な作用ではないと考えられた。
|