1993 Fiscal Year Annual Research Report
Helicobacter pyloriの感染が胃癌の発生に与える影響
Project/Area Number |
05770372
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
白井 孝之 東海大学, 医学部, 助手 (70196591)
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Keywords | Helicobacter pylori / 胃癌 / ニトロソアミン / 疫学 / 発癌 / Helicobacter felis |
Research Abstract |
予備検討:本実験の前に、疫学的背景を探るため、56名の胃癌患者におけるH.pyloriの感染率を組織鏡検法と血清抗体法により調査した(詳細は添付した別刷を参照)。その結果95%以上の感染率を照明した。両検査法の相関は良好であるが、samplin errorと侵襲性、および大量検体の処理の点からは後者に優越性がみられた。 1.H.pyloriと胃内のニトロソ化合物の関係 種々のニトロソ化合物のうちヒト胃液内で最も高濃度に存在すると推定されるnitrosodimethyl-amineをtargetに測定した。しかし含有量は極く少なく、従来の測定系では測定感度に限界があるため、その感度を上げるべく、光化学反応を用いたinterfaceを作成し増感を試みた。しかし十分な分解能を得るには、さらに10-100倍程度の感度の上昇が必要であり、現在検体の濃縮法を模索中である。 2.胃液中の発癌抑制物質の定量 パイロット的に少数例で除菌前後の胃液中のascorbic acidを測定したところ、除菌後に上昇する傾向が窺われた。しかし上記のように胃癌患者では多くが菌陽性で、かつ偽陰性のことが少なくないため、真の陰性患者群を設けることが困難である。このため、PCR法などより感度の高い診断法を用いることも必要と思われる。 3.動物における発癌とH.pyloriの関連 H.pyloriはヒト、サルでは胃粘膜における感染が比較的容易に成立するが、ラットでは菌の定着率、およびその持続率が極端に低いことが判明した。そこでH.pyloriの類似菌でイヌ、ネコに感染率の高いH.felisを入手し投与を準備しているが、感染し難い場合は無菌ラットを用いることも考慮している。
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Research Products
(1 results)