1993 Fiscal Year Annual Research Report
微粒子による肺胞マクロファージの活性化-微粒子吸入によるびまん性肺疾患の病態の解明
Project/Area Number |
05770399
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
小林 淳 自治医科大学, 医学部, 講師 (90195785)
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Keywords | 肺胞マクロファージ / 微粒子 / ロイコトリエンB_4 |
Research Abstract |
研究目的:びまん性肺疾患、とくに急性肺障害や間質性肺炎をきたす病態においては原因不明と考えられるものが少なくない。従来、ウイルス感染やガス・有機塵埃の吸入、薬剤への暴露などがその原因であろうと推定されてきたが、確固たる証拠を欠くことがほとんどであった。本研究では微粒子吸入によって急性肺障害や間質性肺炎が惹起される可能性を証明する目的、肺胞マクロファージが微粒子によってどのように活性化されるかを解明した。 方法:肺胞マクロファージをウイスター系ラットの気管支肺胞洗浄液から得た。細胞数2×10^6個/mlに調整し、浮遊液を1mlずつ試験管内に分け、付着反応を抑制するために振とうしながら37℃に保った。微粒子による肺胞マクロファージの活性化状態を評価するために、微粒子としては炭素粉(直径10mum)、硅酸粒子(直径60mumおよび5mum)、タルク粉、を選び、上記の細胞浮遊液中に加えることにより、1時間後の上清中のロイコトリエンB_4放出量を測定した。また光学顕微鏡によって貪食像を観察した。 結果:上清中のロイコトリエンB_4放出量は対照26.6±11.9ng/well,硅酸粒子(直径5.0mum)135±12.2ng/well(p<0.001).硅酸粒子(直径60mum)38.7×12.4ng/well(n.s.).タルク粉43.8±6.3ng/well(p<0.005),炭素粉(直径10mum)22.5±2.2ng/well(n.s.).であった。また光学顕微鏡によって貪食像が明瞭に確認できたのは硅酸粒子(直径5.0mum)とタルク粉であり、硅酸粒子(直径60mum)ではロゼット様の相互付着像を確認した。以上の結果から特定の微粒子による肺胞マクロファージの活性化の一端が明かとなった。
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