1993 Fiscal Year Annual Research Report
肺腺癌におけるムチン遺伝子の発現と臨床態度との関係
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05770413
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
津田 徹 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 講師 (60207389)
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Keywords | 肺癌 / ムチン / 遺伝子 / 気道分泌 / RT-PCR |
Research Abstract |
気道分泌蛋白の粘性を司るムチンは、分子量10^7ダルトンと巨大であり、その分子量のうち70%を糖鎖が占めるため、コア蛋白の構造はこれまで明らかにされていなかった。しかし1989年頃よりMUC1を始めとしてヒトの各組織からムチン遺伝子がクローニングされ、我々も腸管からクローニングされたMUC2がヒトおよびラットの気管支で発現していることを明らかにした。またSO_2を曝露したラットのcDNAライブラリーによりMUC2をプローブとし、7つのクローンを得、そのうちRAM7Sはムチン遺伝子に特有のスレオニンを中心とした繰り返し構造を持っていた。RAM7Sは、SPFラットでは発現しておらず、SO_2を曝露+センダイウィルス感染ラットでムチンに特有のPolydisperse signalを認めた。SO_2のみ、センダイウィルス感染のみのラット気道では発現を認めなかった。ラットでの気道ムチン遺伝子のクローニングは、動物発癌モデルでの転移に関する研究に有用であると考える。 肺癌臨床例の検討では、これまでに当院第2外科で摘出した肺癌症例のうち、術後1年以上経過したものについて、-80℃に保存中の肺癌腫瘍部、非癌部肺、それぞれ30サンプルよりRNAの抽出を行った。しかし、30×2サンプルのうち、RNAの変性していないものは約半数であった。(手術摘出より凍結までの時間によりRNAの変性が起こったと考えられる。)現在、MUC1[TCCAATCACAgCACTTCTCCC,AgCCAAggCAATgAgATAgAC]MUC2[CAAgCACAgCACCgATTgCTgAgTT,CACCTggTgCgTAgTAggTgTCgTT]のプライマーを作成し、それぞれRT-PCRを施行したところMUC1は肺腺癌以外にも発現を認めた。また、米国NCIより得た肺癌細胞株cDNA 30種類についてMUC1,MUC2のRT-PCRでの発現について検討中である。
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[Publications] 津田徹: "ラット気道ムチンcDNAのクローニングと発現" 日本胸部疾患学会雑誌. 31. 272- (1993)
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[Publications] 津田徹: "in situ ハイブリダイゼーションによるMUC2及びMUC3ムチン遺伝子の発現と局在" 日本胸部疾患学会雑誌. 31. 273- (1993)
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[Publications] 津田徹: "気道分泌蛋白ムチン遺伝子のクローニングと発現" 気道過敏性研究. (1994)
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[Publications] Basbaum C,Tournier J,Takeuchi K,Tsuda T,Jany B.: "Gene expression in airway mucus-secreting cells." CRC Press Lung Biol.in Health and Dis.72. 315-324 (1994)
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[Publications] Tsuda T,Gallup M,Jany B,Gum J,Kim Y,Basdaum C.: "Characterization of rat airway cDNA encoding a mucin-like protein" Biochem.Biophys.Res.Comun.195. 363-373 (1993)
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[Publications] Changn S,Dohrman A,Basdaum C,Ho S,Tsuda T,Toribara N,Gum J.: "Localization of intestinal mucin(MUC2 and MUC3)mRNA and apomucin in human normal intestine and colon cancer tissues by in situ hybridization and immunohistochemistry" Gasteroenterology.(in press). (1994)
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[Publications] Ohmori H,Dohrman A,Gallup M,Tsuda T,Kai H,Gum J,Kim Y.: "J.Biol.Chem." Molecular cloning of the amino terminal redion of rat MUC2 mucin gene homologue:Evidence for expression in both intestine and airway (in press), (1994)