1993 Fiscal Year Annual Research Report
in vivo磁気共鳴スペクトロスコピーによるアルツハイマー病患者の脳内異常燐酸化合物の検出
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05770429
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
上田 祥博 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (20232762)
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Keywords | Alzheimer病 / ^<31>P MRS / T1飽和時間 |
Research Abstract |
これまで私は、Alzheimer病患者の脳内の燐化合物をin vivo ^<31>P magnetic resonance spectroscopy(MRS)を使用して測定してきた。その結果Alzheimer病患者では、燐脂質のT1緩和時間に異常があることが明らかになってきた。これまでの成果を踏まえて、本年度は燐化合物のT1緩和時間を実際に測定することを目的にした。また正確なT1時間の測定はMRSの解釈のためにも必要である。 前年度まで共同研究をおこなっていた東芝那須工場の宮崎は、以前開発したmodified upgraded selective spin echo(MOUSSE)sequenceにinversion recovery sequenceを組み合わせてT1緩和時間を測定するsequenceを開発していた。このpulse sequenceを使用しAlzheimer病患者と年齢を合わせた正常対照の脳をin vivoで測定した。 その結果、Alzheimer病患者の脳ではphosphodiesters(PDE)のT1緩和時間が同年齢正常対照(1.52±0.39秒)に比べて長く、2.54±0.67秒であることを明らかにした。 PDEは主として膜燐脂質の異化過程の中間代謝産物と考えられており、この結果より、Alzheimer病では異常な膜の代謝が示唆された。さらにこの結果から、Alzheimer病患者のMRSは、繰り返し時間を充分に長く、15秒以上に設定し、飽和効果を考慮した上で解釈しなければならないことが明らかになった。 この成果は昨年までの成果と合わせて、1994年9月4日〜10日にCanadaのVancouverで開催された第15回World Congress of Neurologyにて報告をした。
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