1993 Fiscal Year Annual Research Report
小児期悪性腫瘍の自家骨髄移植におけるex vivo purgingに関する研究
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05770531
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小阪 嘉之 神戸大学, 医学部・付属病院, 助手 (70225415)
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Keywords | 自家骨髄移植 / パ-ジング / メロサイアニン |
Research Abstract |
申請者は、これまで、採取した骨髄細胞を遠心分離法にて、単核球層に分離してパ-ジングをおこなってきた。この方法だと細胞の回収率は10〜30%にすぎない。そのため、今回は、赤血球存在下でのパ-ジングに至適のメロサイアニンの濃度と白色光照射時間を設定し、赤血球を除かないパ-ジング法を確立することにより、より細胞回収率をアップさせることを研究の目的とした。そのため、種々のメロサイアニン濃度において、また種々の時間の光照射の後、ヒト正常リンパ球や骨髄細胞、癌細胞株(HL-60、GOTO)細胞の殺細胞率を、MTTアッセイとメチルセルロースによるコロニーアッセイにて評価した。その結果、メロサイアニン30mug/ml、白色光60分間照射にて、癌細胞のコロニー形成は1/10^3〜10^4になるが、正常細胞の生存率(リンパ球、骨髄細胞のMTTアッセイによる生存率、ならびに骨髄細胞のコロニー形成)は50%をこえる良好な成績であった。しかし、実際に、神経芽細胞腫の患者にこの条件下でパ-ジングをおこなうと、CFU-GMの回収はわずか10〜20%程度であった。そこで、実験系の半分の濃度のメロサイアニン15mug/mlにて実際の患者にはパ-ジングをおこなった。現在、この条件下でパ-ジングを施行した、神経芽細胞腫の患児2例、非ホジキンリンパ腫の患児1例の自家骨髄を冷凍保存中で、近く自家骨髄移植を施行予定である。なお、一昨年本法でパ-ジングを施行して、自家骨髄移植をおこなった前骨髄性白血病の2例のうち、1例は葉ら疾患が再発死亡したが、他の1例は移植後1年半を得た現在、無病生存中である。今後、さらに、本法によるパ-ジングを用いた、自家骨髄移植例を増やして、再検討していきたい。
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