1993 Fiscal Year Annual Research Report
自家骨髄移植におけるP糖蛋白関連多剤耐性細胞の効果的なpurging法の研究
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05770536
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
石田 也寸志 愛媛大学, 医学部, 助手 (20221070)
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Keywords | Cyclosporin A(CyA) / CFD-GM / 骨髄抑制 / P-glycoprotein(P-gp) / multi-drug resistarce |
Research Abstract |
本年度は種々の抗癌剤についてCFU-GMに対する影響を検討した。 【方法】抗癌剤とCyAの同時併用の骨髄培養 骨髄液を採取し、比重遠心して単核球を分離採取し、2回洗浄後最終細胞濃度を1X10^6/mlになるように希釈した。抗癌剤とCyAを種々の濃度で加え、24穴平底プレートで72時間培養した。 顆粒球マクロファージコロニー(CFU-GM)アッセイ 72時間後に各wellからピペッティングにより回収した単核球を3回洗浄後にメチルセルロース法によるCFU-GMアッセイを行った。37℃、5%CO_2存在下で培養し、7〜10日後に40個以上の細胞集団をコロニーとして(5X10^4細胞当たり)算定した。 統計学的検定 有意差の検定には、T-testあるいはWilcoxson法を用いた。 【結果】VCR、DOXとVP-16 抗癌剤の濃度が増加するに従いコロニー数が減少するが、CyAを5mug/ml併用するとその減少が特に著しく、CyAは抗癌剤のコロニー形成抑制を増強する事が明かであった(P<0.05あるいはP<0.01)。しかし0.5mug/mlの濃度では、抗癌剤の併用でコロニー数にはほとんど影響がみられなかった。 Ara‐CとMTX 抗癌剤の濃度が増加するに従いコロニー数は減少するが、CyAを5mug/ml併用してもその減少は増強されなかった。 【考察】多剤耐性に関係するVCR、DOX、VP-16にCyA5mug/ml併用した場合には、コロニー形成が強く抑制されるのに対して、CyA0.5mug/mlの併用ではコロニー形成の抑制は軽度であった。一方Ara-CやMTXといった代謝拮抗剤ではCyAと併用してもコロニー形成抑制の増強はみられなかった。本研究の結果から、CyAでは高濃度(5mug/ml=3.8muM)になると症例によっては骨髄抑制をもたらしうるが、低濃度(0.5mug/ml)では骨髄抑制があまり問題にならないことを示唆している(第35回臨床血液学会総会発表、現在投稿中)
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 石井 他寸志: "Cyclosporin AによるP糖蛋白関連多剤耐性の克服-veragamilとの併用効果と正常造血幹細胞への影響" 愛媛医学. 12. 394-405 (1993)
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[Publications] 石井 他寸志 他: "小児悪性腫瘍に対する化学療法時の顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)の臨床効果" 愛媛医学. 12. 186-191 (1993)
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[Publications] 石井 他寸志 他: "好中球のH_2O_2およびO_2^-産生障害をともなったchidich-東症候群の1例-ビタミンCの効果" 日本小児科学会雑誌. 97. 2478-2483 (1993)
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[Publications] 石井 他寸志 他: "壊死性リンパ節炎と血球貧食症候群を合併した成人スチル病の1例" 日本小児血液学会雑誌. 7. 167-171 (1993)
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[Publications] 石井 他寸志 他: "化学療法後に下垂体機能の回復を認めた尿崩症を伴うランゲルハンス細胞組織球症の1例" 小児がん. 30. 407-410 (1993)
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[Publications] Yasushi Ishida: "Ganciclovir for chromic active Epstein-Barr virus infection" The Lancet. 341. 560-561 (1993)