1993 Fiscal Year Annual Research Report
小児の肥満およびインスリン非依存型糖尿病におけるインスリン作用に関する研究
Project/Area Number |
05770537
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
戒能 幸一 愛媛大学, 医学部・附属病院, 助手 (00204313)
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Keywords | 糖尿病 / インスリン作用 / 遊離脂肪細胞 / ブドウ糖輸送 / タングステン化合物 |
Research Abstract |
糖尿病に対する新しい経口治療薬の可能性を探るために、タングステン化合物がラット遊離脂肪細胞でブドウ糖輸送を促進させるかどうかをまた促進させるならどんな特性があるのかを調べた。WCl_6には有意な促進作用を認めず、10〜30mMのNa_2WO_4に有意な促進作用を認めた。20mM Na_2WO_4の作用はインスリン最大効果の30%くらいであった。20mM Na_2WO_4とインスリンの2者を同時添加してもその効果はインスリン単身の効果と同レベルであり、相加性を示さなかった。この作用がATP依存性か否かを見るためにKCN処理してATPを枯渇させた細胞で試してみると、インスリンの効果も20mM Na_2WO_4の効果も認められなかった。すなわちこれらの作用はATP依存性であった。以上のことより、Na_2WO_4の作用はインスリン作用と同様の機序で発現しているのだろうと推察できた。Na_2WO_4の作用をもっと低濃度で発現させえないものかと考え、H_2O_2を添加して過酸化物(pW)に変えてみたところ、低濃度で強力な作用を示すようになった。Na_2WO_4もH_2O_2もほとんどインスリン様作用を持たない1mMという濃度で実験すると、相乗効果(おそらくpWの作用と思われる)が認められ、その効果(1mM pWの効果)はインスリン最大効果の76%くらいであった。1mM pWの効果とは相加的でなく、また両者の効果ともATP依存性であった。以上のことより、pWの作用もやはりインスリン作用と同様の機序で発現しているのだろうと考えられた。このように新しいインスリン様作用物質を見出すことができたが、これらの物質を糖尿病動物に投与してみて血糖を低下させることができるのかどうかを調べることが、今後の課題である。
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Research Products
(2 results)