1993 Fiscal Year Annual Research Report
自己回帰モデルを用いた頭蓋内動脈、頚動脈および動脈管の血流波形の要素波解析
Project/Area Number |
05770540
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Research Institution | 大分医科大学 |
Principal Investigator |
古城 昌展 大分医科大学, 医学部, 助手 (10215262)
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Keywords | 多次元自己回帰解析 / 要素波解析 / 頚動脈血流量波形 |
Research Abstract |
〔目的〕多次元自己回帰解析を用いて、頚動脈血流量波形(以下CABFW)の日令による発達特性を明らかにすることを目的とした。 〔対象〕正常満期産新生児35名(男16名、女19名)で、第5生日まで解析した。 〔方法〕静睡眠期において超音波血流量測定装置DFM-4500(林電気)を用いてCABFWと心電図を得て、データレコーダーに磁気記録した。パーソナルコンピュータmodel216(YHP)を用い、この記録をR波をトリガーとしてサンプリング間隔10msec、データ長が平均RR間隔である離散時系列にAD変換した。これに多次元自己回帰モデルを当てはめ、要素波解析を施し、心拍からのインパルス応答とその構成要素波の減衰周波数、パワーを求めた。 〔結果〕CABFWのトータルパワーは、日令発達と共に有意に増加した(p<0.0001)。全例で、CABFWは9あるいは10個の要素波に分解され、その中で減衰周波数がOHz(C1)、1〜5Hz(C2)、7〜12Hz(C3)である3個の要素波が、CABFWの発達に影響を及ぼした。C1のパワーは、第1生日から第2生日にかけて有意に減少し(p<0.05)、その後徐々に増加した。C2のパワーもC1と同様の日令発達を示した。また、第1生日では全例で動脈管血流が認められた。C3のパワーは、日令発達と共に有意に増加し(p<0.0001)、前大脳動脈のPulsatility Indexの増加と共に有意に減少した(p<0.0001)。 〔結論〕第1生日におけるC1とC2のパワーの増加は、動脈管血流による左心拍出量増加の影響を受けており、C3は脳末梢血管抵抗と関連していることが示唆された。今後は、先天性心疾患、仮死、脳血管障害などの疾患例を対象にCABFWの研究を行い、さらに要素波特性を明らかにし、治療開始時期および治療法を検討する。
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