1994 Fiscal Year Annual Research Report
Chediak-Higashi症候群におけるCキナーゼの異常と遺伝子治療の試み
Project/Area Number |
05770541
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Research Institution | 山梨医科大学 |
Principal Investigator |
田辺 文憲 山梨医科大学, 医学部, 助手 (80217108)
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Keywords | Chediak-Higashi症候群 / Cキナーゼ / カルパイン |
Research Abstract |
先天性食細胞機能不全を主徴とするChediak-Higashi症候群の動物モデルであるベ-ジュマウスにおいて、細胞内情報伝達に重要なCキナーゼに異常がみられることは既に報告した。すなわち、ベ-ジュマウスの好中球やNK細胞のCキナーゼ活性は、TPA刺激により急速なdown-regulationが生じ、これがNK活性低下やCon A cap形成の異常の原因になっている。ベ-ジュマウスのCキナーゼを正常なラットより精製したmu-calpainと反応させると、正常マウスのCキナーゼよりも急速に分解されることがわかった。 このCキナーゼは、現在までalpha、beta、gammaなど数種のsubtypeが知られている。今回私は、ベ-ジュマウスのCキナーゼのどのsubtypeに異常がみられるのかを調べるために、好中球より抽出したCキナーゼをハイドロキシアパタイトカラムによる高速液体クロマトグラフィーで分画した。その結果、正常およびベ-ジュマウスの好中球のCキナーゼは大きなピークと小さなピークの二つに分れた。各Subtypeに特異的なポリクローナル抗体を用いてWestern Blot法を行ったところ、大きなピークはCキナーゼbeta、小さなピークはCキナーゼalphaであることがわかった。そこでマウス脳よりmRNAを抽出し、逆転写反応を利用した遺伝子増幅法(RT-PCR)により正常およびベ-ジュマウスのCキナーゼbetaのcDNAを増幅した。現在、この増幅したcDNAを用い、direct sequence法により塩基配列を解読中で、ベ-ジュマウスのCキナーゼbetaのcDNAに点突然変異があるかどうか解析を行なっている。 Chediak-Higashi症候群の遺伝子レベルの異常をベ-ジュマウスを用いて明らかにし、遺伝子治療への手がかりにしたい。
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