1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05770552
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
川野 豊 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (90224815)
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Keywords | 気管支喘息 / Tリンパ球 / ダニ抗原 / interleukin2 / interleukin4 / interferon-gamma / IgE / 気管支喘息寛解 |
Research Abstract |
気管支喘息は即時型アレルギーの代表的疾患であり、本邦では小児気管支喘息の大部分はダニ抗原に感作されていることが知られている。小児気管支喘息患児末梢血リンパ球を感作抗原であるダニ抗原で刺激するとTリンパ球の活性化が認められ、Tリンパ球増殖因子であるinterleukin2(IL-2)に対する反応性を獲得した。この反応性はダニ抗原に感作されていない健康児末梢血リンパ球では認められなかったことより、気管支喘息患児末梢血リンパ球に特異的な現象であると考えられた。また、このように患児リンパ球においてダニ抗原で活性化されたリンパ球が即時型アレルギーの重要なメディエーターであるIgEの産生系にどのような関わりを持つか検討を加えた。IgE産生の誘導因子としては、interleukin4(IL-4)が知られ、また抑制因子としてはinterferon-gamma(IFN-gamma)が知られていることからこれらの因子(サイトカイン)について検討を加えた。気管支喘息患児末梢血リンパ球をダニ抗原で刺激し培養すると健康児に比較してIL-4産生能の亢進とIFN-gamma産生能の低下を認めた。これらの患児リンパ球におけるダニ抗原刺激時のサイトカインのインバランスは、IL-4のIgE誘導作用とIFN-gammaのIgE抑制作用を考慮するとダニ抗原特異的免疫反応が患児リンパ球においてはIgE産生の方向に偏っていることを示唆するものと考えられた。また寛解患児リンパ球においては非寛解児リンパ球に比較してダニ抗原刺激時のTリンパ球のIL-2反応性は低下し、IL-4産生能の低下及びIFN-gamma産生能の亢進を認めた。寛解児におけるダニ抗原暴露時のサイトカイン産生系の異常は非寛解児のIgE産生に関する過剰免疫反応を抑制するものと考えられた。ダニ抗原刺激により誘導される気管支喘息発作は患児がダニ抗原に暴露された場合にむしろ免疫系が抑制的に働くことにより、ダニ抗原により惹起される一連のアレルギー反応の誘導が減弱し寛解する可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 野間 剛: "気管支喘息寛解児の免疫学的側面とその臨床的意義,ダニ抗原で誘導されるリンパ球のIL2反応性,産生能の低下,抗原暴露によるIFN-gamma産生能の亢進" アレルギー. 42. 186-191 (1993)