1994 Fiscal Year Annual Research Report
線維芽細胞に対するPDGFの走化性発現のメカニズムの解明
Project/Area Number |
05770598
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
相馬 良直 東京大学, 医学部, 講師 (50171377)
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Keywords | PDGF / PDGFレセプター / chemotaxis / ボイデンチャンバー |
Research Abstract |
Platelet-derived Growth Factor(PDGF)は、線維芽細胞に対して増殖刺激活性と走化性刺激活性を持つgrowth factorであり、alphaとbetaの2種類のレセプターに結合することによりその活性を発揮する。両方のレセプターが増殖刺激シグナルを伝え、betaレセプターが走化性刺激シグナルを伝えることがわかっているが、alphaレセプターが走化性刺激シグナルを伝えるかどうかについては定説がなかった。我々はラット線維芽細胞株であるNRK細胞を用いて、以下のことを明らかにした。 1.NRK細胞は両方のレセプターを持つことをウェスタンブロットで示した。 2.レセプターのdown-regulationを見る実験から、3種類のPDGF isoform(AA,AB,BB)のすべてがalphaレセプターと結合するが、betaレセプターにはABとBBしか結合しないことがわかった。 3.Boyden chamber chemotaxis assay を行い、すべてのisoformがNRK細胞に対し走化性活性を持つことを示した。特にAAが走化性活性を持つことをチェッカーボード解析で確認した。すなわち、alphaレセプターが走化性刺激シグナルを伝えることが明らかとなった。 4.ボイデンチャンバーの2つのチャンバーに異なったisoformを入れるというユニークな実験を行うことにより、ABやBBの持つ走化性活性とAAのそれとの間には、量的な差ばかりでなく質的な差があることを明らかにした。すなわち、betaレセプターの伝え得る走化性刺激シグナルはalphaレセプターの伝え得るシグナルと質的に異なったもので、betaのシグナルがalphaのシグナルよりも優位であることが示唆された。
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