1993 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚疾患におけるATL由来因子(ヒトチオレドキシン)の発現
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05770606
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
脇田 久史 浜松医科大学, 医学部, 助手 (70242766)
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Keywords | ATL由来因子 / チオレドキシン / 活性酸素 |
Research Abstract |
Human T-lymphotropic virus type-1感染細胞培養上清中のインターロイキン2受容体発現増強因子として見い出されたATL由来因子(ADF)は,その後の遺伝子クローニングの結果,生体内に広く分布する酸化還元酵素チオレドキシンのhomologueであることが判明した。これに対する抗体を作製し,免疫組織化学的手法により,われわれは,今回,リンパ腫を含む皮膚悪性腫瘍性病変と急性炎症性皮膚疾患での発現を検索した。 1.皮膚の悪性リンパ腫 皮膚原発の悪性リンパ腫および成人T細胞白血病の皮膚浸潤病変おいて,腫瘍細胞にチオレドキシンは発現していなかった。一方,付随して認められた浸潤組織球の細胞質内には強く発現していた。例外的に,極めて稀な病型であるgammasigma型T細胞受容体陽性T細胞リンパ腫においては腫瘍細胞内にチオレドキシンの発現を認めた。この意義については今後の検索が期待される。 2.炎症性皮膚疾患 (1)表皮細胞での発現 湿疹性病変(アトピー性皮膚炎等),角化性炎症性病変(乾癬等)では陰性であったが,苔癬型病変(薬疹,SLE,DLE,扁平苔癬等)では表皮全層にわたり陽性であった。 (2)浸潤細胞での発現 真皮内漫潤組織球は殆どすべて病変で陽性であった。またSLE病変表皮内漫潤単核球の一部が陽性であった。肉芽腫性病変(サルコイドーシス等)においても特に多核巨細胞において強い発現を認めた。最近,チオレドキシンの活性酸素除去能が報告されたため,貧食作用を有する細胞での普遍的発現は,食作用時に細胞内で多量に発生する活性酸素に対する自己防御機構の一つとしてチオレドキシンの発現が増加している可能性を示唆する。
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