1993 Fiscal Year Annual Research Report
精製ダニ抗原刺激後のアトピー性皮膚炎患者末梢血単核球上のFcepsilonRIIの発現について
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05770620
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
前田 啓介 長崎大学, 医学部, 助手 (80244052)
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / FcepsilonRII / CD23 / ダニ / 末梢血単核球 / flow cytometry |
Research Abstract |
FcepsilonRII/CD23はIL-4により、リンパ球、単球、マクロファージ、好酸球などで誘導され、IgEの関与した免疫反応において重要な役割を果たしていると考えられている。ADにおいては、末梢血中のCD23陽性細胞の比率は臨床的に重症な患者ほど高く、CD23の積極的な関与が想定されている。そこでわれわれは、in vitroにおいて、ダニ抗原に感作されたAD患者末梢血単核球(PBMC)を精製ダニ抗原で刺激し、それによって発現されるCD23をflow cytometryを用いて検討した。対象は、mite-sensitive AD患者10名、mite-nonsensitive AD患者4名、アトピー歴のない正常者5名を対象とした。AD患者末梢血より分離したPBMCを10%FCS加RPM11640培養液で1x10^6cells/mlに調整し、200mul/wellずつ96穴平底マイクロプレート(Corning社)に分注した。次にダニ抗原を蛋白濃度として20mug/mlとなるように添加し、37℃、CO_2インキュベータで培養した。培養液に添加するダニ抗原は抗DF虫体抗体を結合させたカラムを用いて回収したaffinity purified DF-bodyを用いた。 mite-sensitiveなAD患者では、PBMC上のCD23の発現はspontaneousと比較して有意に上昇した(P<0.005)。 mite-nonsensitiveAD患者および正常人においては、CD23の有意の上昇は認めなかった。同時にTおよびBリンパ球上のCD23発現をtwo color分析で行ったところ、helper T細胞、suppressor T細胞、B細胞いずれにおいても、CD23陽性細胞は有意に増加した。このようにmite-sensitive AD患者とmite-nonsensitive AD患者および正常人では、CD23の発現に有意の反応性の違いが認められた。このように、AD患者のPBMC上のCD23発現率は高く、in vitroにおいて、抗原刺激によりさらにCD23が特異的に誘導されることが明らかとなった。CD23分子の役割については、なお不明の点も多いが、CD23分子の発現は、IgE依存性の反応をさらに増幅させるものと考えられる。
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