1993 Fiscal Year Annual Research Report
乳房外Paget病由来ヌードマウス可植株(EMP-K1)の生物学的特性
Project/Area Number |
05770623
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
西 正行 鹿児島大学, 医学部, 助手 (40244230)
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Keywords | 乳房外Paget病 / ヌードマウス / アンドロゲン / エストロゲン / 抗アンドロゲン / 抗エストロゲン / 治療 |
Research Abstract |
目的:以前ヒト乳房外Paget病由来ヌードマウス可植株、EMP-K1を樹立したが、EMP-K1腫瘍はアンドロゲンとエストロゲンの両方のレセプターを有し、かつ、アンドロゲンとエストロゲンのそれぞれの刺激で有意な増大傾向を示した。そこで、今回は、EMP-K1を移植されたヌードマウスに抗エストロゲン剤(以下抗エ剤)であるトレミフェンおよび抗アンドロゲン剤(以下抗ア剤)であるフルタミドを投与し、その(抑制)効果を検討した。方法:EMP-K1を移植されたヌードマウスをA群:無処置群、B群:去勢群、C群:抗エ剤投与群、D群:抗ア剤投与群、E群:抗エ剤および抗ア剤投与群の5群に分け、腫瘍が一定の大きさに達した時点より薬剤の投与(それぞれ200mg/kg、28日間)を開始した。また、経時的に腫瘍の長径(L)及び短径(W)を測定し、薬剤投与開始時の積(L×W)を1.00としたそれぞれの相対腫瘍積をもとにA群と比較し、有意差のあるものを効果ありと判定した。有意差の検定にはt検定を用いた。結果:B群は抑制傾向を示したが有意ではなかった。C群は投与2週間より有意に増殖が抑制された(2週目:p<0.025、4週目:p<0.01)。D群は投与4週目で有意に抑制された(p<0.01)。E群は抑制傾向を示したが投与17日目には全て死亡してしまい有意差は得られなかった。以上のように、EMP-K1は、抗エ剤、抗ア剤のそれぞれの投与によってその増殖が有意に抑制されることが確認され、ヒト乳房外Paget病に対する抗性ホルモン剤の治療効果が期待された。なお、現在、母数を増やして再検中であり、さらに、投与終了時に組織学的抗腫瘍効果についても検討する予定である。
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