1993 Fiscal Year Annual Research Report
痴呆性変性疾患にみられる神経原線維変化とニューロピル・スレッドの出現様式一免疫組織学的手法を用いて
Project/Area Number |
05770739
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
小田原 俊成 横浜市立大学, 医学部・精神医学講座, 助手 (00244426)
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Keywords | 神経原線維変化 / ニューロピル・スレッド / びまん性レビー小体病 / 進行性核上性麻痺 / ピック病 / アルツハイマー型老年痴呆 / 抗Tau-2免疫染色 / 分布 |
Research Abstract |
びまん性レビー小体病(DLBD)7例、進行性核上性麻痺(PSP)3例、ピック病(PD)2例に出現する神経原線維変化(NFT)およびニューロピル・スレッド(NT)の出現状況について免疫組織化学的に検討し、アルツハイマー型老年痴呆(SDAT)4例と比較した。方法は各症例の海馬を通る大脳半球前額断の10mu厚パラフィン切片に抗Tau-2免疫染色(Sigma-T5530,1:8000)を施し、大脳皮質におけるNFT・NTの出現量、分布を半定量的に調べた。また、他のTau-2陽性構造物についてもその分析を検討した。DLBD例では、NFTは全例の海馬傍回(Transentorhinal pre-alpha)に出現し、次いで海馬から内側後頭側頭回にかけて好発していた。また、下側頭回、帯状回、島回の錐体細胞層にも散在していた。NTの分布は、下側頭回、帯状回、島回でNFTの局在に一致し、出現量もほぼ比例していたが、上前頭回から下頭頂小葉においては、NFTが散見されるのみでNTは認められなかった。PSP例では2例でTransentorhinal pre-alphaにNFT・NTが少数みられたが、その他の大脳皮質には認められなかった。全例の前中心回を主として、前頭葉、下頭頂小葉にかけてTau-2陽性グリア内構造物が多数分布していた。PDではNFT・NTは出現していなかったが、1例でTau-2陽性のピック小体が中・下側頭回、帯状回、前頭葉の主に顆粒細胞層に多発していた。SDAT4例では、DLBD例と同様、NFTは海馬・海馬傍回に好発し、全大脳皮質にわたって出現していた。NTはNFTの出現量と平行し、NFT同様、大脳皮質全体に認められた。今回検索した痴呆性変性疾患のうち、DLBDは全例にNFTが出現していたが、NETが新皮質に散見される例においても、NTの出現によって示される神経細胞突起の障害は、大脳皮質全体には及んでいないことが明らかとなった。PSPでは生理的加齢による範囲内と考えられた。
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Research Products
(1 results)