1993 Fiscal Year Annual Research Report
てんかんモデル脳のトリプトファン代謝酵素調節機構についての研究
Project/Area Number |
05770743
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
横谷 昇 大阪市立大学, 医学部, 助手 (10244641)
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Keywords | トリプトファン / てんかん |
Research Abstract |
目的 てんかん発作の成因のひとつとしてトリプトファン代謝を検討することであった。 実験 遺伝性てんかんモデルマウス(Elマウス)とその母系とされているddYマウスを用いた。それぞれの脳を大脳皮質、海馬、線条体、小脳に部位分けし、インドールアミン2、3-ジオキシゲナーゼ、キヌレニンヒドロキシラーゼ、キヌレニナーゼ、キヌレニンアミノトランスフェラーゼ、3-ヒトロキシアントラニル酸3、4-ジオキシゲナーゼの酵素活性を測定し比較した。 結果 1)インドールアミン2、3-ジオキシゲナーゼについては両マウス間に有意差を認めなかった。 2)キヌレニンヒドロキシラーゼについてはElマウスの大脳皮質で約15%、海馬で約10%の活性上昇が認められた。 3)キヌレニナーゼについては大脳皮質のみにおいてElマウスで約10%の活性上昇が認められた。 4)キヌレニンアミノトランスフェラーゼについては大脳皮質で約15%、海馬、線条体でそれぞれ約10%の活性上昇が認められた。 5)3-ヒトロキシアントラニル酸3、4-ジオキシゲナーゼについては大脳皮質で約25%、海馬で約20%、線条体で約10%の活性上昇が認められた。 考察 Elマウスにおいてトリプトファン代謝系の5つの酵素の活性上昇を認めたが、3-ヒトロキシアントラニル酸3、4-ジオキシゲナーゼの生成物であるキノリン酸がてんかん発作を誘発するという報告を考慮するとこれらの酵素活性の上昇はこのマウスのてんかん感受性に深く係わっていると考えられる。
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