1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05770750
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
内村 直尚 久留米大学, 医学部, 講師 (10248411)
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Keywords | エネルギー代謝量 / 深部体温 / 徐波睡眠 / サーカディアンリズム / エネルギー保存 |
Research Abstract |
体温は昼間に高く、睡眠中に低い24時間周期のリズムを示すが、エネルギー代謝量は体温と比例すると考えられ、睡眠中の体温下降はエネルギー保存に役立っていると推定される。しかし、睡眠中の体温下降やノンレム睡眠あるいはレム睡眠とエネルギー代謝量の関係は実験によって確認されたわけではない。そこで今回、健康正常者において直腸温とエネルギー代謝量のそれぞれの日内リズム、さらに徐波睡眠と直腸温およびエネルギー代謝量との関係を検討した。 対象は19〜27歳の健康な男子医学部生14名であり、直腸温は1分間隔で連続48時間測定した。エネルギー代謝量の測定は覚醒中で3時間毎に30分間、睡眠中は1分間隔で行った。さらに、同時に入眠前から自然覚醒まで睡眠ポリグラフ記録を行った。 直腸温リズムの平均最適周期は23.3時間、平均頂点位相は18時35分であった。エネルギー代謝量に関してもサーカディアンリズムを認め、直腸温リズムと比較して約90分の位相の先進を認めた。一方、エネルギー代謝量は昼間が夜間より有意に高かった。睡眠中は深睡眠へ移行するにつれて代謝量は低下し、徐波睡眠中が最も低下したが、レム睡眠中はstage2より高かった。入眠時あるいは徐波睡眠開始時の直腸温が高い者ほど、一夜の徐波睡眠出現量および出現率は高かった、また、入眠後の直腸温の下降が大きい者ほど、エネルギー代謝量の下降は大きく、徐波睡眠時平均エネルギー代謝量は低かった。さらに、徐波睡眠出現率が高い者ほど、徐波睡眠時平均エネルギー代謝量は低かった。 以上の結果は、徐波睡眠がエネルギー保存的な役割を持っている可能性を示唆した。すなわち、徐波睡眠中に視床下部の温度受容容器がエネルギー代謝量を低下させることによって体温を下降させ、エネルギーを節約していると推定される。
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