1994 Fiscal Year Annual Research Report
甲状腺ホルモン標的臓器におけるレチノイン酸による甲状腺ホルモン作用の修飾
Project/Area Number |
05770765
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
西井 裕 信州大学, 医学部・附属病院, 助手 (80252089)
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Keywords | 甲状腺ホルモン / レルチノイン酸 |
Research Abstract |
レチノイン酸(RA)は甲状腺ホルモン作用に対し転写レベルにおいて、それぞれの受容体を介して修飾しているという報告はあるが、甲状腺ホルモンの移送に対してどのように影響しているかは分からない。今回RAが甲状腺ホルモンの移送に対してどうのように影響しているかを観察するために、ラット肝癌由来DRLh84細胞における、甲状腺ホルモンの細胞内取り込み、核内取り込みについて調べた。トリヨードサイロニン(T3)の細胞内移送、核内移送は大量の非標識T3によりdisplaceされた。その細胞内への取り込みは10分まではほぼ直線的に増加した。一方核へのとりこみはやや遅れて認められた。レチノイン酸(RA)処理においてT3の取り込みへの影響を見るとRA処理により細胞内への取り込みには影響がなかったが、細胞から核への取り込みにおいて、容量依存性に低下した。また前処理の時間での影響を見てみると3時間で約50%、12時間で60%の低下が認められ以後その低下は36時間まで続いた。RAのアナログによる実験では9cisRA>RA=13cisRAの順に強い抑制を示した。RAによるT3核受容体、細胞質T3結合蛋白(CTBP)に対する影響をみると、両者はRA36時間処理でコントロール処理に比べて差異を認めなかった。これらの結果よりT3の細胞内移送には細胞内移送と細胞内から核内の移送があり、それぞれ別に制御されていると考えられる。またRAは核内移送を選択的に抑制することによりT3の作用を修飾している可能性が示された。
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