1993 Fiscal Year Annual Research Report
低レニン性高血圧モデルにおける組織内レニン-アンジオテンシン系遺伝子発現調節
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05770775
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
西村 眞人 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (50218202)
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Keywords | 底レニン性高血圧 / レニン-アンジオテンシン系 / 遺伝子発現 / PCR / mRNA |
Research Abstract |
1.低レニン性高血圧モデルとして、DOCA食塩高血圧ならびにそのコントロールの以下の4グループを作製し(全グループに片腎摘を施行)、術後6週目の高血圧維持期に断頭屠殺した。 Group 1)DOCA(-),蒸留水 Group 2)DOCA(-),1%食塩水 Group 3)DOCA(+),蒸留水 Group 4)DOCA(+),1%食塩水 2.Tail-cuff法を用いた収縮期血圧は、コントロール(group 1)に比べてDOCA-食塩群(group 4)では、術後4週目より高値を呈し、断頭屠殺する6週目まで高血圧を維持した。 3.血漿レニン濃度は、コントロールに比してDOCA-食塩群において有意に底値であった。 4.競合性PCR法を用いて測定した腎臓におけるレニン mRNAは、コントロールに比してDOCA-食塩群において、極度に減少しており、血漿レニン濃度の底値と合致した。視床下部・延髄部位のレニン mRNAも、DOCA-食塩群において減少していたが、その減少の程度は腎臓二おける減少度よりも軽度のものであった。DOCA-食塩高血圧での競合性PCR法による脳内レニン mRNAの定量は、今までに報告がなく、今回の実験結果は新知見であると思われる。 副腎等他臓器でのレニンの遺伝子発現及びアンジオテンシノゲン、アンジオテンシンI変換酵素の遺伝子発現については、現在施行中である。 5.底レニン性高血圧の代表的モデルであるDOCA-食塩高血圧ラットでは、腎臓に比べて視床下部・延髄等の脳内のレニンの遺伝子発現の抑制は弱く、組織内レニンの遺伝子発現は、各臓器・組織特異的に調節されている可能性が強い。また、視床下部・延髄等の重要な血圧調節中枢を含む部位でのレニン遺伝子発現が保たれていることは、底レニン性高血圧における脳内レニン-アンジオテンシン系の積極的な役割を示唆している。 6.今後、新たにクローニングされたアンジオテンシンII受容体の組織内遺伝子発現を調べ、底レニン性高血圧における組織内レニン-アンジオテンシン系の役割につき、受容体レベルにおいても検討して行く予定である。
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