1993 Fiscal Year Annual Research Report
サイトカインによる骨髄性白血病細胞チロシンキナーゼの活性化:患者検体を用いた検討
Project/Area Number |
05770826
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Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
湯尾 明 国立国際医療センター研究所, 研究員 (90221663)
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Keywords | 急性骨髄性白血病 / サイトカイン / チロシンリン酸化 |
Research Abstract |
本研究では、治療前もしくは再発した急性骨髄性白血病患者(前例FAB分類でのM1)6例の分離直後の検体(白血病細胞95%以上)を用いて、サイトカインによる細胞内蛋白チロシンリン酸化を検討した。サイトカインは遺伝子組換え型のG-CSF、GM-CSF、TNF、M-CSF、IL-3、SCFを用いた。GM-CSFとIL-3は今回検討した6例全例において患者白血病細胞の細胞内蛋白チロシンリン酸化を誘導した。G-CSF、TNF、SCFもそれぞれ4例、5例、4例において細胞内蛋白チロシンリン酸化を誘導した。一方、M-CSFは6例中1例においてのみチロシンリン酸化を誘導した。GM-CSFとIL-3はp92、p80、p70を中心とする共通のチロシンリン酸化のパターンを示した。G-CSFはp92、p80、p70の他にp95のチロシンリン酸化を誘導した。一方、TNFはp42のみを選択的にチロシンリン酸化した。SCFはp140-200、p110、p95などの高分子量の蛋白とp60、p55のチロシンリン酸化を誘導した、M-CSFによるチロシンリン酸化もSCFによるものとおおむね類似したパターンであった。サイトカインによる患者細胞の細胞内蛋白チロシンリン酸化の時間経過も検討した。G-CSF、GM-CSF、TNF、IL-3においては1-3分でチロシンリン酸化が始まり、5-10分でピークに達してそれ以降脱リン酸化された。SCFによるチロシンリン酸化は他のサイトカインよりやや早く(約3分後)ピークに達して、それ以降脱リン酸化された。今回の研究結果によって、サイトカイン特有のパターンの細胞内蛋白チロシンリン酸化が明らかになった。また、樹立した細胞株での従来の知見と異なる部分も有り分離直後の臨床検体を用いた本研究の臨床的意義を示しているものと考えられる。
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[Publications] Yno A et al: "Tyrosine phosphorylation and intracellular alkalinization are early events in human neutroshilis・・・・・・" Biochim Biophys Acta. 1156. 197-203 (1993)
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[Publications] Azuma EK et al: "Activation of the respirotory burst and tyrosine phosphorylation of proteins in human nentrophils" Biochim Biophys Acta. 1179. 213-223 (1993)
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[Publications] 湯尾 明: "サイトカインによる食細胞活性酸素産生と制御" Biotherapy. 7. 564-570 (1993)
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[Publications] 湯尾 明: "炎症とサイトカイン" 臨床医. 19. 1916-1917 (1993)