1993 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素性虚血性脳障害に対するカルシウム拮抗剤の効果について
Project/Area Number |
05770854
|
Research Institution | Kagawa Medical School |
Principal Investigator |
今井 正 香川医科大学, 医学部, 助手 (60176477)
|
Keywords | カルシウム拮抗剤 / フルナリジン / ^<31>P-NMR / 新生仔豚 / 低酸素性虚血性脳障害 / 新生児仮死 / 脳内エネルギー代謝 |
Research Abstract |
低酸素状態および蘇生後の脳内エネルギー代謝に及ぼすカルシウム拮抗剤(フルナリジン)の効果を知る目的で,フルナリジン投与群,非投与群の脳内のエネルギー動態について,^<31>P-NMRを用いて連続的に検討した。フルナリジンは低酸素負荷(吸入酸素濃度6%)直前に投与を開始(1mg/kgをbolusに投与後1mg/kg/hrで投与)した。 (結果)1.低酸素負荷開始より心停止までの時間は,フルナリジン投与群は146.7±46.5分,非投与群は116.7±20.2分で、フルナリジン投与群の方が非投与群に比し長い傾向であった。 2.エネルギー代謝不全と考えられるPCr/Piが1以下に低下するまでの時間は,フルナリジン投与群88.3±27.5分,非投与群は68.3±24.7分であり,フルナリジン投与群の方が長い傾向にあった。 3.PCr/PiGA1以下に低下する時の平均動脈血圧は,フルナリジン投与群では60mmHg前後であり,非投与群では80mmHg前後であった。 4.フルナリジン投与群では,低酸素負荷開始後も,血圧の上昇がみられない例もあり,非投与群と異なった動きを示した。 5.蘇生時の血中乳酸はフルナリジン投与群,非投与群の両者には有意差がなかった。 以上の事よりカルシウム拮抗剤には心筋の収縮力の低下や血圧の低下作用を有し,脳血流を低下させる可能性もあるがフルナリジン投与群の方が血圧が低下するまで脳内エネルギー代謝が維持されていた事より脳血流がたもたれていると考えられた。 また,蘇生を要するまでの時間,PCr/Piが1以下になるまでの時間は有意差はみられなかったが,フルナリジン投与群の方が長い傾向がみられ,フルナリジンの投与量,投与時間,昇圧剤の併用等を検討する事により,仮死による脳障害の予防に応用できる可能性が示唆された。
|
Research Products
(1 results)