1993 Fiscal Year Annual Research Report
新生児脳神経細胞障害に関わるフリーラジカルの動態観察への電子スピン共鳴法の応用
Project/Area Number |
05770856
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
長谷川 功 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (80228444)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 博 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (50128724)
|
Keywords | フリーラジカル / 電子スピン共鳴法 / 低酸素性脳障害 / 新生児 |
Research Abstract |
新生児低酸素脳障害におけるフリーラジカル(free radical:FRの関与を明らかにする目的で低酸素負荷での新生仔マウス脳内FR量の変動を検討した。 実験動物にはJcl-lCR系の新生仔雄マウスを用いた。低酸素負荷は窒素ガス(N_2群)または炭素ガス(CO_2群)により行い、低酸素負荷中および回復期の各時点でマウスの脳を摘出し、液体窒素温度下で電子スピン共鳴装置を用いて脳内のFRを測定した。 コントロール脳ではg=2.005の位置にフリーラジカルのシグナルを観察した。N_2群では負荷20分の時点でラジカル強度はコントロール値に比し有意に低下したが、負荷終了後10分後コントロール値より増加し、その後コントロール値に復った。CO_2群では負荷開始後10分後よりラジカル強度は有意に増加し、20分で最高値に達した。負荷終了後はコントロール値に回復した。 コントロール脳のスペクトルの主成分はミトコンドリアのCoQ_<10>ラジカルと考えられた。N_2群における低酸素中のラジカル強度の低下は低酸素によりミトコンドリアの機能が低下したためと思われる。CO_2群では低酸素負荷で逆にラジカル強度ガ増加した。両負荷では低酸素の程度はほぼ同程度であることから、ラジカル強度の増加は何等かの別のラジカルが生じたことに起因すると思われる。CO_2群はN_2群に比し病理学的に脳障害の程度が強いことが知られているが、この原因のひとつとしてFR反応が関与している可能性がある。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Koh Hasegawa: "Direct measurement of radicals in the neonatal mouse brain subjectedto hypoxia:an electoron spin resonance spectroscopic study" Brain Reseurch. 607. 161-166 (1993)
-
[Publications] 長谷川功: "新生児集中治療室におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染対策と保菌児の自然経過に関する検討" 日本小児科学会雑誌. 97. 2088-2093 (1993)
-
[Publications] 吉岡博: "多ポイント法を用いた近赤外測光による新生児脳血液量の定量的測定の試み" 医学のあゆみ. 164. 831-832 (1993)
-
[Publications] 吉岡博: "近赤外光分析(niroscopy)" 周産期医学. 23. 413-417 (1993)
-
[Publications] 長谷川功: "ポ-タブル血液分析器「i-STAT」の新生児領域における使用経験" 小児科診療. 57. 503-507 (1994)
-
[Publications] 長谷川功: "小児科学新生児学テキスト XXI眼疾患 XXII皮膚疾患" 阿部敏明、飯沼一宇、吉岡博 編 診断と治療社, 13 (1993)