1993 Fiscal Year Annual Research Report
新しい抗癌剤エマルション作成よる内視鏡的早期癌根治療法の成績向上対策の研究
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05770932
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
岩橋 誠 和歌山県立医科大学, 消化器外科, 助手 (70244738)
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Keywords | 早期胃癌 / 内視鏡的治療 / W / O / Wエマルション / リンパ指向性 / 化学的リンパ節郭清 |
Research Abstract |
早期胃癌の内視鏡的治療におけるリンパ節転移対策として、全く新しい方法で、副作用が軽微で腫瘍選択性がありリンパ指向性の高い剤形による化学的リンパ節廓清法を考案した。すなわち、二段階乳化法よりEpirubicin(EPI)またはDoxifluridine(5'DFUR)を封入した多用(W/O/W)エマルションを作成し、その胃壁内局所投与および経口投与の効果について基礎的臨床的研究を行い以下の結果を得た。 1.新しく作成したW/O/Wエマルションは、平均粒径が2.63mumで、常温保存で作成50日後でも肉眼的に分離を認めず。良好な安定性を示し、種々の培養検査によっても細菌が全く検出されなかった。 2.colon26担癌BALB/cマウスを用いた検討では、EPIエマルション局注で腫瘍増殖抑制率が向上し、5'DFURエマルション経口投与群では腫瘍内5-FU濃度が5'DFUR水溶液投与群の5倍以上となり腫瘍選択性が著しく向上した。 3.EPIW/O/Wエマルションの胃壁内投与を行った胃癌30例では、局注後5日目まで第1群リンパ節でも約20倍と高濃度の移行を示した。 4.5'DFURW/O/Wエマルションの経口投与を行った胃癌20例では、癌組織で約30倍、リンパ節でも約20倍と高濃度の移行を示した。 5.ハイリスクのため内視鏡的治療の適応となったsm癌2例にマイクロ波凝固療法とEPIW/O/Wエマルション胃壁内局注を併用したところ、EPIそのものによる副作用が全く認められず悪性所見消失状態(CR)が6カ月以上維持できた。 すなわち、今回新しく作成したW/O/Wエマルションは優れた腫瘍選択性を有し、リンパ節指向性も飛躍的に向上し、副作用軽減につながり、リンパ節転移の否定できない早期胃癌の内視鏡的治療の補助化学療法として有用であると思われる。
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Research Products
(1 results)