1993 Fiscal Year Annual Research Report
肝膵同時大量切除の研究-特に膵切除によるホルモンの変化に対する肝再生について
Project/Area Number |
05770936
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
古田 一徳 北里大学, 医学部, 助手 (40209177)
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Keywords | 肝再生 / 肝膵同時切除 / 肝切除 / 膵切除 / 3H-thymidrne / 肝再生率 |
Research Abstract |
肝切除を70%のみおこなった群とこれに膵切除を50%加えた群で、術後3、7、14、28日目の肝再生率をみると、肝切除のみの群ではそれぞれ28.0%、57.7%、69.6%、78.9%、107.6%であった。また膵切除50%加えた群では、それぞれ28.6%、40.8%、56.2%、69.5%、92%であった。実験前の予測どおり、膵切除を加えることで肝再生率は、肝切除のみのときと比較して低下していた。統計学的には、術後3、14、28日目に有意差をもって肝切除のみの群で再生率が高かった。この違いを膵ホルモンの変化であるかをみるため門脈血中のインスリンとグルカゴンを測定した。またコントロールとして単開腹(n=10)したときの門脈血中のインスリン濃度は31.2muq/ml、グルカゴン濃度は152.4pq/mlであった。肝切除のみのインスリン濃度は術後3、7、14、28日目それぞれ10、19.2、13.5、23.3と術後14日目にやや低下するが全体に上昇傾向を示したが、膵切除群では27、16、9.5、14と上昇傾向は示さなかった。またグルカゴンでは肝切除群では348、387、250、242で膵切除を加えたものとあまり変化はなかった。そこでグルカゴン/インスリン比をみると肝切除のみでは34.8、20.2、18.5、10.4で、経過ごとにグルカゴンの上昇にみあったインスリンが分泌されてくるが膵切除を加えると16.2、20.1、20.3、20.3とグルカゴン/インスリン比が低下してこなかった。これはインスリンが十分分泌されないためと思われた。動脈血のGOT、GPT、NH3には差はみられていない。また網内系の機能として肝DNA中へのthymidineの取り込み率は実施中であるが、検体数がすくなく現在実験中で結論は出ていない。
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