1993 Fiscal Year Annual Research Report
脳腫瘍におけるアミノ酸代謝とシスプラチンの作用機序に関する研究
Project/Area Number |
05771008
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
笹嶋 寿郎 秋田大学, 医学部, 助手 (40235289)
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Keywords | 脳腫瘍 / シスプラチン / ^<14>C-メチオニン / オートラジオグラフィー |
Research Abstract |
Sprague-Dawlyラットの大脳基底核にC6ラットグリオーマ細胞を注入接種して脳腫瘍モデルを作製した.移植後10日目に^<14>C-メチオニンを吸入麻酔下で静脈内投与し,90分後に断頭して摘出脳を凍結し,クライオスタットで冠状断切片を作製し,隣接切片は過塩素酸で洗浄して酸可溶性の遊離トレーサーを除去した.いずれの脳切片も乾燥し,^<14>C-標準線源とともにX線フィルムに密着させ,^<14>C-メチオニンのオートラジオグラムを作製し,デンシトメーターで計測した黒化度から局所アイソトープ濃度を求め,投与量と体重で補正して^<14>C-メチオニンの組織移行率を算出し,過塩素酸洗浄後のオートラジオグラムから酸不溶性分画を求めた.腫瘍部の組織移行率は2.07±0.60(mean±SD,n=6)で,対側灰白質の1.03±0.23に比較して有意に高く(p<0.01,Mann-Whitney test),腫瘍部と対側灰白質の比は2.01±0.37で,^<14>C-メチオニンは腫瘍部に高集積し,周囲組織との境界は鮮明であった.蛋白合成を反映する酸不溶性分画は腫瘍部で1.74±0.62と対側灰白質の0.82±0.17に比較して高値で(p<0.05),腫瘍組織に集積したメチオニンの84%が細胞内高分子化合物に組み込まれていた.シスプラチン(5mg/kg)の静脈内投与群では腫瘍部の組織移行率と酸不溶性分画が平均15%減少したのに対して,対側灰白質ではいずれも変化がみられず,腫瘍部で選択的にメチオニン摂取が低下した.オートラジオグラフィーの解析から脳腫瘍におけるシスプラチンによるメチオニンの組織移行および高分子蛋白との結合阻害が示された.
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