1993 Fiscal Year Annual Research Report
モヤモヤ病患者における免疫学的背景の解明に関する研究-特に補体系の関与について-
Project/Area Number |
05771031
|
Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
佐々木 達也 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (00153990)
|
Keywords | モヤモヤ病 / C1-inhibitor / 補体 |
Research Abstract |
当科で追跡中の慢性期モヤモヤ病患者、男性8例、女性19例の計27例(平均38.8才)を対象に検討を行った。C1-inhibitor(C1-INH)の蛋白量をロケット電気泳動法及び一次元拡散法(SRD)で、活性を酵素法にて測定した。さらに補体活性化の鋭敏な指標である補体フラグメントC4a,C3a,C5aをラジオイムノアッセイ法にて測定した。健康成人18例を対照群として比較検討した。 結果:1)C1-INHの蛋白量は、ロケット電気泳動法では対照群のMean+SDを越える高値例が9例認められたが対照群との有意差は得られなかった。SRDでも同様に10例で高値を示したが、有意差は認められなかった。2)C1-INH活性では正常域を越す症例が5例認められた。3)補体フラグメントの測定では、正常域を越す高値例がC4aで3例、C3aで9例認められたが、C4aとC3aとの間に相関は認められなかった。C5aの高値例は認められなかった。4)C1-INHと補体フラグメントとの関係では、C1-INHとC4aとの間に正の相関が認められ(p<0.05)、さらにC1-INH高値を示した9例についてはより高い相関が認められた(p<0.01)。 本症患者では、C3aが比較的多くの症例で高値を示しており、補体系が活性化されている可能性が示唆された。C4aとC3aとの間に相関が得られなかったことからこのC3の活性化は第2経路を介したものと推察された。C1-INHとC4aとの相関から、本症患者では古典経路の活性化も起こっており、C1-INHの上昇はこれを抑制するための二次的なものと考えられた。
|