1993 Fiscal Year Annual Research Report
免疫組織化学的手法を用いたタ-ニケットペインのメカニズムの検討
Project/Area Number |
05771130
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
萩平 哲 大阪大学, 医学部, 助手 (90243229)
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Keywords | タ-ニケットペイン / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
タ-ニケットペインのメカニズムを検討するために以下の実験を行った。 1.片側の坐骨神経を鼡径部レベルで切断したラットの後趾の坐骨神経の支配領域に逆行性トレーサーであるフロロゴールドを微量注入する。コントロール群では切断を行なわずに同様の処置を行なう。注入2日後にラットを潅流固定し両側のT10からS1までの後根神経節を取り出し15mumの厚さの切片を作成し蛍光顕微鏡下にこれを観察する。 2.実験1と同様に片側の坐骨神経を=径部レベルで切断したラットにおいて切断レベルよりも末梢側で大腿動静脈周囲にフロロゴールドを微量注入する。以下実験1と同様の操作を行なう。 実験1,2とも実験群3匹、コントロール群3匹のラットを使用した。 結果:実験1,2ともコントロール群ではL3,L4のレベルで多数のフロロゴールド陽性細胞を認めたが、目的であったT10から、L1レベルの後根神経節には陽性細胞はほとんど見出せなかった。また、実験群においてもこのレベルの後根神経節には陽性細胞はほとんど認められなかった。今回の結果では交感神経系に内在する臓性知覚線維も体性知覚線維とほぼ同じレベルで脊髄に入ると考えられた。つまりいわゆるextra spinal pathwayと呼ばれるようなルートは本実験からは見出せなかった。これまでに、大腿骨の骨髄などを支配している線維は下部胸椎レベルに入るという報告もあるが今回はこれらに相当する線維を見出しておらず、さらに別のルートの検索が必要であることも示唆された。 いずれにしても今回の結果からはタ-ニケットペインは本来の体性知覚線維と共に信号が入力されることを示唆するものであった。実験データがnegativeであったこともあり学会、雑誌等へのデータ公表は行なっていない。
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