1993 Fiscal Year Annual Research Report
^<31>P-,^1H-MRSによる虚血再潅流時の腎代謝に及ぼす高血糖の影響の解析
Project/Area Number |
05771138
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Research Institution | Kagawa Medical School |
Principal Investigator |
植木 正明 香川医科大学, 医学部, 助手 (20213332)
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Keywords | 燐核磁気共鳴法 / 高血糖 / 腎虚血再潅流 / エネルギー代謝 / 細胞内pH |
Research Abstract |
腹部大動脈瘤に対する外科手術を受ける患者の約10%は糖尿病を合併すると言われているが、高血糖が大動脈遮断による腎虚血にどう影響するかの報告はない。そこで今回大動脈遮断によるラット腎の虚血再潅流に及ぼす高血糖の影響を燐核磁気共鳴法を用いて、高エネルギー燐酸化合物や細胞内pHの変化から検討した。 高血糖群は50%糖液を対照群は生理的食塩水をそれぞれ6ml/kg、腎虚血作製30分前に腹腔内投与し作成した。 腎虚血前の血糖値は高血糖群で301mg/dl、対照群で122mg/dlであった。 虚血開始30分後には、細胞内pHは対照群の6.37に比べて高血糖群では6.23と有意に低下し、再潅流後も回復が遅延した。一方エネルギー代謝には両群に有為差はなかったが、両群とも虚血前値には回復しなかった。 今回の結果より、虚血前の高血糖により虚血再潅流時にアシドーシスの遷延、エネルギー代謝の回復遅延が認められた。 これは腎のNa^+-^+ATPaseに代表される尿細管機能の低下を引き起こし、細胞内にNaが増加し、細胞が膨化し、細胞機能が低下し腎障害に進展していくと思われる。そこで、この推測を証明するために申請者は現在ナトリウム核磁気共鳴法を用いて、虚血時に細胞内ナトリウムが増加するかどうかを検討している。
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