1993 Fiscal Year Annual Research Report
硬膜外麻酔における局所麻酔薬作用部位の電気生理学的検討
Project/Area Number |
05771146
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
井上 卓也 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (90223255)
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Keywords | 硬膜外麻酔 / 局所麻酔薬 / 分節性脊髄誘発電位 |
Research Abstract |
研究計画では伝導性脊髄誘発電位(ESCP)と分節性脊髄誘発電位(SSEP)を同時に測定記録する予定であったが、実際に実験を行ってみたら不可能であった。そこで、今回は上行性のSSEPの検討を行い、硬膜外腔へ投与した局所麻酔薬が、神経根に作用しているかどうかを検討した。 成猫6匹を対象とした。ペントバルビタールにて麻酔下に動静脈ラインを確保した。気管切開を行い、硬膜外電極を4cm、硬膜外カテーテルを2cm頭側に向けて挿入した。これらを導出電極と局所麻酔薬投与ラインとした。左坐骨神経を露出し、双極銀線電極を置き、刺激電極とした。これから上行性のSSEPを得た。記録は50回加算とした。コントロールを記憶したのち、2%リドカインを0.1mg/kg硬膜外腔へ投与し、以後2時間後まで経時的に測定記録した。誘発電位のN1,N2,P1,P2,P3の潜時と振幅を解折した。 それぞれのコントロール値は以下のごとくであった(Mean±SD)。潜時(msec)は、P1:1.873±0.491,P2:2.673±0.429,P3:3.407±0.497,N1:2.337±0.370,N2:3.087±0.418,振幅(muv)は、P1-N1:33.8±24.26,P2-N2:77.1±39.93であった。硬膜外麻酔後、P1の潜時が45分と60分後に有意に延長した。P2,P3,N1,N2の潜時はいずれも30分以降2時間後まで有意に延長した。振幅に関しては有意な変化はなかった。 N1は後側索を、N2は後索を上行する電位であると考えられている。またP1は太い神経を伝導してきた活動電位と考えられており、神経根の伝導の指標となる。本研究から、硬膜外腔に投与された局所麻酔薬は、神経根および脊髄後側索に作用すると考えられた。
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