1993 Fiscal Year Annual Research Report
蘇生時における重炭酸ナトリウム投与による組織PHおよび炭酸ガス分圧の変化
Project/Area Number |
05771152
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
吉岡 真実 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (10230690)
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Keywords | 出血性ショック / 重炭素ナトリウム / 筋組織pH / 筋組織炭酸ガス分圧 / 乳酸 |
Research Abstract |
雑種成犬における40ml/kgの脱血による組織低灌流モデルに対して、7%重炭素ナトリウムを4ml/kg投与し、動脈血・混合静脈血・脳脊髄液のPCO2・pHとイオン選択性トランジスタセンサーを用いて測定した筋組織のPCO2・pHに及ぼす影響について比較検討した。(1)心拍出量は7%重炭素ナトリウム投与後、投与前の約180%に上昇した。これはPCWPも同様に上昇したことから、本剤の高浸透圧作用により、循環血液量が増加したことによると考えられた。(2)動脈血・混合静脈血・脳脊髄液のPCO2は、投与後50分間継続して有意に上昇し、本剤によるCO2産生の増加の関与が考えられた。しかし、筋組織のPCO2は、投与前後において有意な変化をせず、心拍出量増加による組織からのCO2のwash outの増加の影響が示唆された。(3)動脈血・混合静脈血・筋組織のpHは、投与後有意に上昇した。しかし脳脊髄液のpHは投与後20分間にわたり、投与前より低下する傾向を示した。以上より出血性ショックにおける7%重炭素ナトリウム投与は、脳内アシドーシスを助長する可能性はあるが、筋組織では高炭素ガス症を来すことなくアシドーシス改善に有用であると考えられた。(4)筋組織のPCO2と血中乳酸濃度・混合静脈血PCO2の間には、それぞれr=0.65・r=0.73の、また筋組織のpHとトノメトリー法による消化管壁内pH・混合静脈血pHの間には、それぞれr=0.63・r=0.53の相関があり、ともに全身のショックの指標となりうると考えられた。なお本研究の一部は、第21回日本集中治療医学会総会報告において報告した。今後さらに、hypoxiaモデルにおいても検討を加えたいと考えている。
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