1993 Fiscal Year Annual Research Report
腎細胞癌に対するIL-2封入リポソームを用いた局所動注療法の有用性の検討
Project/Area Number |
05771205
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大家 基嗣 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00213885)
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Keywords | 腎細胞癌 / IL-2 / リポソーム |
Research Abstract |
マウスの自然発生腎癌であるRencaを腎被膜下に移植し、2日目より経動脈的にIL-2封入リポソームの投与を行う実験系を計画したが以下の点で実施が困難であった。1)マウスに対しての経動脈的カテーテリゼーションが困難であり、留置が致命的である場合があった。2)腎被膜下に移植した場合、生着を初期の段階で確認するのが困難であり、腫瘍が生着していない個体に治療実験がおこなわれる場合があった。ゆえに、腎被膜下の移植のかわりに皮下移植に変更し、IL-2封入リポソームの局所投与と全身投与における抗腫瘍効果を検討した。(方法)1×10^6個のRenca腫瘍をBALB/cマウスの背部に移植後14日目に5つのグループに分け、各薬剤を7日間投与した。グループ1は、生食を腫瘍周囲に、グループ2は、生食封入リポソームを腫瘍周囲に、グループ3は、IL-2 1万単位を腫瘍周囲に、グループ4はIL-2封入リポソームを腫瘍周囲に、グループ5は、IL-2封入リポソームを腫瘍から3cm離れた部位に投与し、全身投与のモデルとした。治療開始後7日目で、腫瘍を摘出し、間接免疫染色法により、抗Thy-1,2抗体、抗Lyt-1抗体、抗Lyt-2抗体、抗L3T4抗体を用いて染色した。(結果)治療開始後10日目にIL-2封入リポソームを腫瘍周囲に投与した群ではコントロール群と比較し、有意に腫瘍増殖抑制効果を認めた(p<0.05)。15日目および20日目ではさらに効果が増強された(p<0.01)。IL-2封入リポソームを腫瘍周囲に投与した群では、コントロール群と比較し、有意に生存の延長が得られた(p<0.01)。すべての治療実験グループにおいて、抗Thy-1,2抗体、抗Lyt-1抗体に反応する腫瘍浸潤リンパ球が観察されたが、顕著な陽性細胞の出現は、IL-2封入リポソームを腫瘍周囲に投与した群にのみ観察された。抗Lyt-2抗体および抗L3/T4抗体に反応するリンパ球はIL-2封入リポソームを腫瘍周囲に投与した群にのみ観察された。
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