1993 Fiscal Year Annual Research Report
胎児中枢神経機能障害の病態解析と予防-フリーラジカル・スカベンジャー系を中心として
Project/Area Number |
05771258
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
塚原 優己 高知医科大学, 医学部, 助手 (80243830)
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Keywords | ミトコンドリア / フリーラジカル / 抗酸化因子 / Co enzymeQ / 胎児 |
Research Abstract |
1,虚血-再灌流実験 妊娠19日ラットを麻酔下に開腹し、双角子宮の片側を対照群とし、他側を実験群として子宮卵管動静脈を20分間結紮後、30分間再灌流した。その後両群の胎仔脳組織を採取し、脳組織中のLipod Peroxide(LPO)濃度、及びCo enzymeQ9(CoQ9),Co enzymeQ10(CoQ10)濃度を測定した。また、ラット胎仔脳ミトコンドリア分画を採取し、ミトコンドリア呼吸活性(Respiratony Control index(RCI)ADO/O比)を測定した。 脳組織中のLPO濃度は、対照群の7.36±1.48mM/mg protに対し実験群では、11.61±3.85mM/mg protと有意に高値を示した。CoQ9濃度は、対照群270.3±166.87mug/mg prot、実験群139.87±62.59mug/mg prot、CoQ10濃度は、対照群98.86±19.70mug/mg prot、実験群52.28±28.56mug/mg protといずれも実験群が有意に低値を示した。 ミトコンドリア呼吸活性は、RCIは対照群3.05土0.68、実験群2.28±0.45、ADP/O比は対照群1.88±0.05、実験群1.72±0.14といずれも実験群で有意に低値であった。以上の成績から、虚血後の再灌流により、胎仔脳組織内で、フリーラジカルが発生し、そのフリーラジカルが、呼吸鎖の構成因子であるCoQを消費しながら、脳シトコンドリア呼吸活性を抑制することが明かとなった。すなわち、胎児中枢神経機能障害の発生過程には、脳組織内に発生するフリーラジカルが強く関与している可能性が示唆された。 2、CoQの薬裡学的効果の検討 胎令19日ラット胎仔ミトコンドリア分画を採取し、Xanthin(XA)50mumol/ml、Xanthin Oxidase(XOD)0.02IU/mlを添加し、フリーラジカルを発生させた後にシトコンドリア呼吸活性(RCI)を測定した。更に、XA,XOD添加前にCoQ10 10,20,50mug/mlを前投与し、対照群、XA,XOD単独投与群と比較し、CoQ10の効果を検討した。 RCIは、対照群2.843±0.315に比べ、XA,XOD単独投与群では1.942±0.14と有意に低値を示した。CoQ10 10,20,50mug/ml投与群のRCIはそれぞれ、2.178±0.204,2.202土0・218とXA,XOD単独投与群に比べ有意に高値を示した。 したがって、CoQ10が発生したフリーラジカルに対する抗酸化因子として作用し、ミトコンドリア呼吸活性を改善させることが明らかとなった。今後は、抗酸化作用を有するCoQの臨床応用の可能性につき、さらに検討を進めていく予定である。
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